
きよ
@kiyomune
本を、読むぞ!オー!
- 2025年5月8日ハチドリ舎のつくりかた安彦恵里香読み終わったこの春から少しだけお邪魔をしている、ソーシャルブックカフェの店主さんが書いた本ということで、購入。 わたしがこの場所に出会ったのは、職場や社会で使われる、温度感の異なる「対話」という言葉の、もっともわたしが正しいと信じられる定義を探すためだったのだが、この真面目な問いに、日常と一続きのカフェという場が応じてくれること、そのことの頼もしさを、改めて噛み締めている。
- 2025年5月6日読み終わったカラーチラシのコート紙で本文が作られた本に初めて出会った。めくりやすさの低下と、裏の文字の透けは、ちょっと頂けない感じ。 ただ、この装丁は、unpisさんの不思議なイラストとの親和性のみバツグンである。ツルツルしていて、すべてに掴みどころがない。 序章の、猫で溢れるSNSの話だけで、すでに満足度が高い。 写真の在り方が著しく変わったというのに、その在り方に、社会的価値観がまったくついていけていないことが、ありありと見てとれる。 顔という、手触りとしてアナログな個人情報が、データとして取り扱われ、意識せず暴かれていくことに、ひんやりとした不安感を覚える。 保護と侵害の攻防、撮ることと撮られることの価値づけ、どんどんスイッチしていく物事についての哲学的な問いが、筆者によってどんどん展開していく。 スピード感のある本。 メモ 量産型の化粧が隠したもの 母親の姿がないカメラロール(撮影をしなくなった父) カラー化が共感を呼ぶという図式の安直さ
- 2025年5月4日読み終わった私は女で、だからこそ世の中で起こる「女であるために押し付けられている不利」に関心がある(というか、あると思いたい)わけだが、それでもこの本を読んでいると、ある問題について何も感じずに生きていたことにハッとさせられたり、論点のズレた世論の怒りに流されていたことを恥ずかしく思ったりする瞬間がある。 あるいは、あの時ひとりで怒っていたことは(ついで、まわりが無関心そうに見えてだんだん不安になったことは)変じゃなかったんだ、と思えてホッとする瞬間もあり、だからといって、「正しい怒り」の側にいたことにホッとするのもダメだなとも思う。 まるで、わたしが双六のコマになって、マス目ごと書いてあることに一喜一憂したり、振り回されたり、前進させてもらったりしているみたい。 不思議な本。大切にしたい。
- 2025年4月29日
- 2025年4月27日
- 2025年4月26日水中の哲学者たち永井玲衣読み終わったまるで桃を傷ませないように触って、ゆっくり皮を剥くように、社会に触れる人だ。 何かに正面衝突して、砕けたとしても、また形を取り戻すまでの痺れのようなものに負けないという点で、とても強い。 哲学者と呼ばれる人たちは、玉ねぎをわしわし剥くように真相を探ったり、切れ味のいいナイフで果物をストスト切り分けたりするイメージだったが、これもまた乱暴な理解だったのだろう。 しかし、東進の講師紹介で、揺るがない自信をまとって話をしているように見える人と、この本を買いている人は、同じ人物なのかしらんと、いまだに違和感が残る。別人みたい。 メモ 哲学は普遍を目指すものだが、それぞれが背負う経験や苦痛や偏愛をあっけなく捨象するものでもない 相手を尊重したいのに、相手を傷つけようとする 献身の近眼 世界問題集かよ
- 2025年4月21日調べる技術小林昌樹読み終わった感覚的にやっているレファレンス業務を、丁寧に言語化してくれた本。いつもお世話になっているデータベースの話であっても、ちいさな気づきが少なからずある。時折挟まれるジョークや、切り出し方の愉快な各章のサブタイトルに笑いつつ、楽しく拝読した。
- 2025年4月13日退屈をあげる坂本千明読み終わった実は読んだのはこの本ではなくて、同人誌『思いどおりにいかない』の方。ISBMがないので、代わりに記録に鎮座してもらうことに。 数冊の読書経験を経て、この本で確信を得たのだが、どうやら私はエッセイがかなり好きなようだ。昔は見向きもしないジャンルだっただけに、意外な発見。 生きる中で考えたことを、人に読まれること前提で整えた、そういう文章の、冷たくて、さりとて特有の香りがする感じが好きだ。人を家に招き入れる前の掃除された、とはいえ完全に飾り立てることはできないあわいが、文章から感じられてとても心地よい。文の上では、人生のままならなさも、少しコントロールできるところに救いもある気がする。
- 2025年4月6日会社と社会の読書会WORKSIGHT,山下正太郎,工藤沙希,畑中章宏,若林恵,コクヨ野外学習センター読み終わった読書会の素朴な記録。 個々の発言に触れるたび、色々な気づきはあるし、もちろん回を追うごとの発展はあるが、読書会の記録として当然のことながら、一貫した大きな流れで論が構築されていくことはないため、読み手は、彼らの会話の合間に、偶発的な繋がりや発展を見つけて楽しむ、という感じ。 会社=社会、という出だしだけでハッとさせられたので、読み出し数ページですでに買った価値は見出せる。 課題図書に加え、多くの参考図書が正確に記録されているため、本格的な追体験をするには、これらを読んでいた方が面白いと思う。 ジャンダークのおきみ、の名前のインパクトが強すぎて……
- 2025年3月30日基礎からわかる 論文の書き方小熊英二読み終わった片岡則夫さんの本が中学生から高校生向けなら、この本は、高校3年から大学1〜2年向けだな、という感触。 講義の実録を模した形式なので、価値や意義についての説明はなめらかで、納得しやすい。反面、語の定義などの正確さは、少し流動的な箇所もある。 必要に駆られ、つまみ食いのような速読をしたので、また時間のある時に、ゆっくり読みたい。
- 2025年3月30日中高生からの論文入門小笠原喜康,片岡則夫読み終わった片岡則夫さんの、ちくまQブックス『マイテーマの探し方』とほぼほぼ、ほぼほぼ同じ中身だということを知らずに通販で買ってしまって、はからずも復習する羽目に。 もう内容が誦じられそう。いい内容だから、復習すること自体はいいのだが、悲しいものだ。
- 2025年3月23日わたしたちが光の速さで進めないならユン・ジヨン,カン・バンファ,キム・チョヨプ読み終わった「感情の物性」があまりによく、その話を読んだ余韻のまま、数ヶ月ほど本を棚に戻していた。今日、残りの2篇を読んで読了。 どの話にも、しっかり掴んだ学識をベースにした世界観と、現代の、見なかったことにされがちな問題から目を逸らさない登場人物の眼差しが息づいており、静けさに満ちている。 「感情の物性」が好きなのは、ユウウツ体を手放すことができないボヒョンの悲しみが、あまりに切実だから。 憂鬱が、自分の手の中で、自分の意思によりコントロールできる――なんなら、食べてしまえるくらい手軽なものであってくれたらいいのにと、私も強く思う。
- 2025年3月21日高校生のための科学評論エッセンス ちくま科学評論選吉田修久,坂口浩一,岩間輝生,関口隆一読んでるこの本は教科書ではないが、教科書に近しい。 そしてこの形態の書籍ほど、視野の狭さや視界の暗さを、即時的に教えてくれるものはない。 もちろん、入門を意識した論や、一部抜粋の論が多いので、「どうして視野が狭いのか/どうすればいいのか/どれほど暗いのか」等についてまでは、及ばないものが多い。 だが、環境に慣れ、疑いを忘れる私たちにとって、視野が狭いこと、視界が暗いことを、様々な知見から、そっと囁いてくれる存在が、どれだけありがたいものなのかは、言うに及ばない。 それなりに歳を重ねた頑迷な私にとっては、尚更である。 面白かった章 池内了さん「単純系VS複雑系」 世の中のわからなさを、投げ出しでもなく、寛容さのポーズでもなく、必要なものとして丁寧に取り扱う科学の姿勢に、頭が下がった。
- 2025年3月20日人生の法則 「欲求の4タイプ」で分かるあなたと他人 電子版岡田斗司夫FREEex読み終わったお世話になっている教授が、もう10年も前に薦めてくれた1冊。 メールを見てふと思い出し、電子で入手。 こういう、性格診断系にハマるような方ではないので、意外に思いながら読みはじめたのだが、この本は、性格ではなく「欲求のあり方」を教えてくれるものだったことや、人付き合いの補助線を引くための提案書であることがわかり、妙に納得。 診断そのものは、ブレを許容する書き方含め、興味深く、受け入れやすいものだった。 読み物として面白かったのは、最終章の、文化の継承について。 繋がらずして伝えられない文化的土壌を、人らしく伝えていくための糸口を探るべく、書かれた本なのかも知れない。
- 2025年3月15日
- 2025年3月14日朱子学と陽明学小島毅読み終わった読み始めは、一つの話題について、朱子学と陽明学の捉えを一気に説明する流れが辛く、別章で分けてください!という気持ちでいっぱいだったが、ノートに整理をしつつ、ぐずりながら読み進めてゆくうち「同時に語らずして、双方の繊細なズレは説明できないのだ」と自然と悟らされた痛快な一冊。 表題学、儒学の別流派(なんなら対立しているもの)だという認識だったが、朱子学ありきの陽明学であることをはじめ、学の起こりを丁寧に紐解く一冊だったので、だいぶ系統の整理がついた。 復古は革命であること、宗教ではないのに宗教(仏教)と戦わざるを得なくなる背景など、思いもよらない、だけど「そうならざるを得ない」ことに、世の中は満ちているようだ。 本題とは関係ないが、士大夫の起こりのくだりは説明の手際がよくて、新たな発見もあり、有り難かった。 時折、ベースにあるべききっちりとした基礎が抜け落ちていることを、こうして気づかせてもらえるのはありがたい。
- 2025年3月8日山影の町から笠間直穂子読み終わった低山が漠然と風景に溶け込んでいる私の生活にとって、この、聳える山が落とす影や寒さ暑さと共に生きる感覚描写は、外国と思えるほどの体感のズレがある。 都会の人の表面的な田舎礼賛とは一線を画した、田舎生活の中の、特別ではない豊かさを描いたエッセイに、最近とみに出会う。 感性のチューニングを終えた人の文章は美しくて好きだ。 好きな章 葛を探す バタースコッチ 庭の水 花々と子供たち 「花々と子供たち」を読んでの補足 レベッカソルニットさんの、薔薇についての言説が、かつて咲かずに固まってしまった和ばらの花弁をむしった時の手触りをまざまざと思い起こさせてくれて、鳥肌が立った。
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