
maru
@hon7177
2025年8月5日

光っていません
イム・ソヌ,
小山内園子
読み終わった
また読みたい
心に残る一節
@ 自宅
『幽霊の心で』が一番好きだった。
もう一人の私である幽霊に抱きしめられた時の
“一寸の誤差もない完璧な理解”に胸がギュッとなった。
邦訳版表題作『光っていません』もとても良かったし、あと『カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ』も好き。
生きづらさと解放感どちらもある本だなと思った。
【閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす】というカバーの文も納得かも。
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失望が積もれば怒りになり、怒りは結局諦めになるから。それを繰り返さないように、私はいつからか何も望まなくなった。(p.20)
私は幽霊の泣き顔を見つめた。私に届かなかった感情が、すべてその中にとどまっていた。手を伸ばして、幽霊の両目からぽろぽろこぼれ落ちる涙をぬぐってやった。手には触れなかったけど、確かにあたたかく、それがあまりにあたたかいから、私は泣くことができた。〔中略〕しばらくして幽霊は私を抱き寄せたが、それは私が生まれて初めて受け取る、一寸の誤君もない完璧な理解だった。(p.23)
生きるのに疲れたが死ぬのは悔しい人は、クラゲと同じくらい多かった。(p.42)
たった一度でも、あんなふうに明るく、美しく光ることができたら、人生に未練はないだろうなって。(p.52)
私は空っぽの水槽を眺めながら、これからのことを考えた。私は今夜、クの元を去って深夜バスに乗るんだ。また歌を歌って、またダメになったり、ならなかったりするんだ。だけど海岸から遠ざかるまでは、ジソンさんが見た光、たった一度の光のことだけを考えるんだ。(p.62)
依頼人には共通点があるんですよ。〔中略〕自分を守ろうとして、他人を傷つける人たちなんです。(p.169)
会社の人たちとうまくやれないのは、私が猫だからなんだ。事実を知ってすべてが変わった。翌日から私は、会社で社長が口にする不快な冗談に笑わなくなり、お昼の時間になると一人でごはんを食べた。私がおかしくなったという噂を流している同僚の車に、釘で引っかき傷を作ったりもした。〔中略〕徹底的に一人になったが、以前のように落ち込みはしなかった。いじめと寂しさは当然のことだった。身の毛もよだつ人間たちのあいだで、私は唯一の猫なのだから。その事実を受け入れると、これまでのどんなときよりも心が安らいだ。(p.188)
かつて私は、私を誇りに思っていた。たくさんのアルバイトを掛け持ちして自分の食い扶持を稼ぎ、時間はかかったけれど大学も卒業したから。でも、この二年間就職活動に失敗し続けて、私の世界はだんだんに狭くなっていった。(p.213)