光っていません

58件の記録
- maru@hon71772025年8月5日読み終わったまた読みたい心に残る一節@ 自宅『幽霊の心で』が一番好きだった。 もう一人の私である幽霊に抱きしめられた時の “一寸の誤差もない完璧な理解”に胸がギュッとなった。 邦訳版表題作『光っていません』もとても良かったし、あと『カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ』も好き。 生きづらさと解放感どちらもある本だなと思った。 【閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす】というカバーの文も納得かも。 ---------- 失望が積もれば怒りになり、怒りは結局諦めになるから。それを繰り返さないように、私はいつからか何も望まなくなった。(p.20) 私は幽霊の泣き顔を見つめた。私に届かなかった感情が、すべてその中にとどまっていた。手を伸ばして、幽霊の両目からぽろぽろこぼれ落ちる涙をぬぐってやった。手には触れなかったけど、確かにあたたかく、それがあまりにあたたかいから、私は泣くことができた。〔中略〕しばらくして幽霊は私を抱き寄せたが、それは私が生まれて初めて受け取る、一寸の誤君もない完璧な理解だった。(p.23) 生きるのに疲れたが死ぬのは悔しい人は、クラゲと同じくらい多かった。(p.42) たった一度でも、あんなふうに明るく、美しく光ることができたら、人生に未練はないだろうなって。(p.52) 私は空っぽの水槽を眺めながら、これからのことを考えた。私は今夜、クの元を去って深夜バスに乗るんだ。また歌を歌って、またダメになったり、ならなかったりするんだ。だけど海岸から遠ざかるまでは、ジソンさんが見た光、たった一度の光のことだけを考えるんだ。(p.62) 依頼人には共通点があるんですよ。〔中略〕自分を守ろうとして、他人を傷つける人たちなんです。(p.169) 会社の人たちとうまくやれないのは、私が猫だからなんだ。事実を知ってすべてが変わった。翌日から私は、会社で社長が口にする不快な冗談に笑わなくなり、お昼の時間になると一人でごはんを食べた。私がおかしくなったという噂を流している同僚の車に、釘で引っかき傷を作ったりもした。〔中略〕徹底的に一人になったが、以前のように落ち込みはしなかった。いじめと寂しさは当然のことだった。身の毛もよだつ人間たちのあいだで、私は唯一の猫なのだから。その事実を受け入れると、これまでのどんなときよりも心が安らいだ。(p.188) かつて私は、私を誇りに思っていた。たくさんのアルバイトを掛け持ちして自分の食い扶持を稼ぎ、時間はかかったけれど大学も卒業したから。でも、この二年間就職活動に失敗し続けて、私の世界はだんだんに狭くなっていった。(p.213)
- みずかり@mm_calling2025年5月4日読み終わった表題作の「光っていません」がダントツで印象的だけど、他の話も雰囲気がすごく好みだった。 韓国文学、なんとなく少し寂しいところが自分と共鳴する〜 もっともっとこういうの読みたい
- みずかり@mm_calling2025年4月24日読んでる表題作「光っていません」 最高。好き。ずっとこの余韻に浸ってたい。 こういうのあと100個くらい読みたい。 キムチョヨプ好きな人におすすめしたい
- みずかり@mm_calling2025年4月23日読んでる短編集の一つ目「幽霊の心で」 自分が抑圧してる、見ないようにしてる感情ってなんだろうと考えてたとこにちょうどこんな物語が。 自分だけに見える、自分とそっくりの幽霊が現れる。彼女は感情だけ自分と同期している。 自分が外に表せない感情を、自分と瓜二つの幽霊は露わにしたりする。それを第三者視点で見る自分。 私も知りたいな。自分のほんとの感情を。
- もぐもぐ羊@sleep_sheep2025年4月13日読み終わったまだ読んでるかつて読んだ東京創元社のゲラ先読みキャンペーンで発売前に読ませてもらったけど、訳者あとがきを読みたかったのと本の装丁が素敵なのでとりあえず買っておいたのを読んだ。 訳者あとがきがなくて泣いた…(本編と関係ない) 小山内園子さんの翻訳した作品の訳者あとがきを読むのが好きなので読めないのが悲しい。 作者の言葉と倉本さおりさんの解説が読めたのはよかったけど、私は小山内さんの訳者あとがきを読みたかった! この本自体がとても気に入ってるので買ったことに後悔はないけど! 改めて読み返すと前に読んだ時とは違う味わいがあったので、気に入った話を気が向いた時に読んでいきたい。
- みず@mizzz2025年3月15日読み終わったまた読みたい短編集 全話、SFで固められているが どこか他人事ではなく、身近に寄り添うような優しさがある作品達だった。 1番最後の作品は、タイトルでこの本を完成させ、この本に出てくる人物や読んでいる自分が手を繋いでお辞儀をするような、晴れやかさがある。
- maru@hon71772025年3月8日気になる【紹介文】 クラゲになることを選ぶ人。 木に変身した男。 冬眠する依頼人……。 ままならない日々を過ごす 私たちに起こる不思議な出来事。 読んだ瞬間から、自由になれる。 日常に解放感をもたらす、韓国発、8つの奇妙な物語! 事故で2年間植物状態になっている恋人を見舞い続ける“私”の前に、分身を名乗る幽霊が現れる。自分そっくりな幽霊が一向に姿を消さないため、“私”は仕方なく一緒に暮らし始めるが……(「幽霊の心で」)。人間をクラゲにしてしまう、変種のクラゲが大量発生する。社会に動揺が走るなか、音楽活動をやめた“私”は、自らクラゲになりたがる人をサポートする仕事につき……(「光っていません」)。所属している劇団が行き詰まり、仕方なく役割代行サービスをしている駆け出し俳優の“あたし”。誰かに代わって別れを告げたりニセの恋人になったりしているうち、ある男から、「冬眠の準備を手伝ってほしい」という依頼があり……(「冬眠する男」)。 閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす、韓国発、8つの奇妙な物語!作家の言葉=イム・ソヌ/解説=倉本さおり ■収録作品 「幽霊の心で」 「光っていません」 「夏は水の光みたいに」 「見知らぬ夜に、私たちは」 「家に帰って寝なくちゃ」 「冬眠する男」 「アラスカではないけれど」 「カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ」