久保みのり|書店よむにわ "悲しみの秘義" 2025年8月5日

悲しみの秘義
悲しみの秘義
若松英輔
大切な人を喪った者を最初に襲うのは悲しみではなく、孤独である。だが、逝きし者をめぐる孤独は、不在の経験ではない。それは、ふれ得ないことへの嘆きである。悲しいのは、愛するものが存在しないからではなくて、手が届かないところにいるからだ。(p.144「孤独をつかむ」) この本を手にとれてよかった。読みはじめ、読み終えることができてよかった。点滅社『鬱の本』のように、これから何度も読み返すと思う。今年4月、母方の祖母が亡くなった。6月には、父方の祖母が倒れ意識を失った。かけてくれた言葉、つくってくれたご飯。何度も何度と思い出すけれど、もう味わうことはないのだな。寂しい。それでも、私の中に生き生きとおばあちゃんがいて、孤独に「ようこそ、これが人生です。おめでとう御座います」と祝福されているようだ。
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