
socotsu
@shelf_soya
2025年8月7日

長い一日
滝口悠生
読み終わった
鉤括弧で会話が括られないし、ずっと地の文で境目が曖昧なので、いま誰が喋っているのか・誰の思考かよくわからなくなっていく文章の流れが好きだった。生活の光景やそれに紐つく思いがぶつぶつと独り言のように流れていく、作者の私小説のような日記のような、自分と周辺の人について書かれた作品、というのがすべてで、あえて言えば引っ越しだったり退職だったり、人間の節目について書かれている小説、なのかもしれない。でもそれの連続で誰の生活も成り立っているものだから。おじさんにとっての仕事、夫にとってのオオゼキ、滝口夫妻にとっての大家さん夫妻、引っ越す前の家、失ったものやまだそこにあるものが失われることを想像して、それを惜しんだり愛おしんだりする心理描写が特に印象的。





