
あむ
@Petrichor
2025年8月7日

盲目的な恋と友情
辻村深月
読み終わった
事前情報をなにも見ずに読め!というSNSの投稿を目にしたことがきっかけで読み始めました。
たしかに、正解。
甘ったるい恋愛小説が苦手な人も、必ず最後まで読んでほしい。
以下ネタバレ含みます
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自分にとって一番の相手に同じように一番にしてもらえたとき、それは人間にとって「甘美な思い出」になるのだろう。
「一番」という概念は一対一では発生しない。
「甘美な思い出」を演出する舞台があるとしたら、それには必ず「一番になれなかった脇役」が必要なのだ。
彼女たちが盲目になって縋っていたのは恋なのか?友情なのか?それとも脇役を蹴散らす「一番」の栄光なのか。
この物語を読んで共感できる人物がいたとすれば、その人物が縋っているものに、きっとあなたも縋っている。共感できない人物がいたとすれば、その人物が縋っているものはあなたにとって縋る必要のないものだ。
理解できない執着を人は悪と呼ぶが、この物語に悪は登場しない。
誰かがなにかに執着するとき、それには必ず理由があって、この狂った運命に、私たちはいつだって同じように翻弄される可能性を秘めているのだ。
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記憶を消して今度は恋と友情を逆にして読んでみたいな。
全編を通して「美波」という人物は最も執着から遠い存在として描かれていた気がする。
それとも、「愛される自分」に執着していたのかな。
