盲目的な恋と友情

10件の記録
- 🍻@far_away_2025年8月14日読み終わった前半の「恋」パートで蘭花に対して彼女が先輩に抱いたのと同じ気持ちを抱いた。 「あの聡明な女を、こんなプライドのない行動に走らせてしまうのが「恋」だとしたら、恋愛とは、なんと不毛なものなのだろうか。怖いのは、稲葉先輩ではなく、彼女をそうしてしまう魔物のような恋そのものだ。」 留利絵の気持ちわかる、私も大事な友達が危ない彼氏に脅されていたらきっとそいつを殺してでも守る、と思ったのにめちゃくちゃなどんでん返しでぶっ倒れた、そういえばこの本は辻村深月著作でした。この後の二人はどうなるんだろう。真実を知ったとき蘭花はそれでも留利絵を親友と呼ぶのだろうか。 留利絵が蘭花にもっと深い愛情を持ってたらもっと感情移入したり共感できたかな、と言う部分も多い。彼女が蘭花に執着するのは蘭花のことが好きだからってよりも「蘭花のような子と仲良くできる自分」を生み出す舞台装置として不可欠だから。親友だと定義して欲しい、他のどの女友達よりも自分が大事だと思って欲しい、それは色んな人が大なり小なり理解できる感情だと思うけど、留利絵のそれは「じゃないと一番近くにいる友達になり得ない」という感覚由来なのがな〜…… でも留利絵のその性格や卑屈さ、空気の読めなさ、そういうのが全部彼女の容姿由来で感じた他者からの視線のせいなわけで、つまりルッキズムが全部悪いってこと‼️になってしまった 美波は二人の視点からだとちょっとバカで悪い子として描かれているけどむしろすごく「普通」 それでもやっぱり友情が恋愛に勝てないことをまた突きつけられて絶望を感じながら読んだ、勝ち負けなんかじゃないというのは分かってるんですけど……うう ✍ 「どうして、いつの日も、友情は恋愛より軽いものだというふうに扱われるのだろうか。 何人と付き合ったか、が話題になることはあっても、何人の友達がいるか、そのうちの何人から真に心を開かれ、わかり合えているかが語られることはない。 恋はいつ終わるとも知れない軽いものなのに、長く、ずっと続く友情の方は、話題になることが、ない。」
- あむ@Petrichor2025年8月7日読み終わった事前情報をなにも見ずに読め!というSNSの投稿を目にしたことがきっかけで読み始めました。 たしかに、正解。 甘ったるい恋愛小説が苦手な人も、必ず最後まで読んでほしい。 以下ネタバレ含みます ----------------------- 自分にとって一番の相手に同じように一番にしてもらえたとき、それは人間にとって「甘美な思い出」になるのだろう。 「一番」という概念は一対一では発生しない。 「甘美な思い出」を演出する舞台があるとしたら、それには必ず「一番になれなかった脇役」が必要なのだ。 彼女たちが盲目になって縋っていたのは恋なのか?友情なのか?それとも脇役を蹴散らす「一番」の栄光なのか。 この物語を読んで共感できる人物がいたとすれば、その人物が縋っているものに、きっとあなたも縋っている。共感できない人物がいたとすれば、その人物が縋っているものはあなたにとって縋る必要のないものだ。 理解できない執着を人は悪と呼ぶが、この物語に悪は登場しない。 誰かがなにかに執着するとき、それには必ず理由があって、この狂った運命に、私たちはいつだって同じように翻弄される可能性を秘めているのだ。 ------------------------ 記憶を消して今度は恋と友情を逆にして読んでみたいな。 全編を通して「美波」という人物は最も執着から遠い存在として描かれていた気がする。 それとも、「愛される自分」に執着していたのかな。