
ちょこれーと*
@5_ogd
2025年8月8日

移動と階級
伊藤将人
読み終わった
ついに読み終わってしまった。よく見たら5/22発売。発売日当日に手に入れたから、ずいぶんと長く旅をしてきたなと思う。
「行きたい場所に、いつでも行けますか?」そんな問いから始まる本書。この問いから思い起こした私の最初の答えは「ノー」だった。
学生の頃は望めばどこへだって行ける、何にだってなれるという展望があった。
社会人になってからは規範と言うか社会性と言うか、色々なしがらみが纏わりついて身動きが取りづらくなってしまった。元々体力もそんなにないから疲労も相まって余計に動きたくなくない。
そんな鬱々とした毎日を過ごしている中で、のんびりのんびりと読み進めてきた。
自分には関係がないと見てみぬふりをしていた格差の問題、旅行と嫉妬感情、移動と気候変動といった一見何の関係も無さそうなものの関連性。様々なものは繋がっているのだと認識したらすごくわくわくした。それと同時に複雑に絡み合っているからこそ問題に対する解決の糸口を見つけることの難しさも突きつけられる。
『移動とは、社会的で、政治的で、経済的なものである。』
この社会という枠組みの中で生きている以上、誰もが例外なく当事者である。
そして、最後にもう一度冒頭と同じく「行きたい場所に、いつでも行けますか?」と問われる。読み終えた後の私の答えは見つけられていない。この問いについての答えはずっと考え続けないといけない、人生において一生の宿題なのかもしれないなと思う。
