☁️ "まとまらない言葉を生きる" 2025年8月9日

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@mmccxx
2025年8月9日
まとまらない言葉を生きる
再読。 ・戦後80年という節目の年かつ終戦の日が近いこともあり、戦時中の障害者の話にものすごく打ちひしがれてしまった。 “戦時中の障害者たちは、「お国の役に立たない」ということで、ものすごく迫害された。「国家の恥」「米食い虫」なんていう言葉で罵られた。そうした迫害に苦しんだ人たちだからこそ、「障害者を苦しめる戦争反対!」とはならない。むしろ、なれないのだ。迫害されている人は、これ以上迫害されないように、世間の空気を必死に感じ取ろうとする。どういった言動をとればいじめられずに済むか、自分をムチ打つ手をゆるめてもらえるかを必死になって考える。“『第七話 「お国の役」に立たなかった人』P104-105 ・本書中で触れられていた新潮社の杉田水脈氏の件から7年もの月日が経っていたのにも関わらず、直近に高山正之氏のコラムの件があり、会社として何も変わっていないことになんだか本当に愕然としてしまった。 ・しかし、そういう最悪とも呼べることがあっても、差別や「言葉の壊れ」に抗い続けたいと思える本なのがこの本の良い所だよな……と思う。 “障害があろうが、病気があろうが、子供だろうが、ルーツが違っていようが、人には絶対に侵害してはならない一線というものがある。でも、ここ最近、この一線を乱暴に踏み越えたり、立場の弱い人たちの一線の幅を勝手に挟めようとする動きがある。しかもお金があったり、権力があったり、影響力を持っている人たちが、この一線を軽んじてきている。特に文学者として悲しいのは、ずっと文学を支えてきた老舗の出版社でさえ、この一線を軽んじる言葉の片棒を担ぐようになってしまったということだ。こうした言葉が降り積った社会を、次の世代(つまり、いまの子どもたち)に引き継げというのか。それは、どうしたって許せない。ぼくらは絶対に侵害してはいけない一線を守る言葉を、急いで積み上げなければならない。誰かの一線を軽んじる社会は、最終的に、誰の一線も守らないのだから。“『第十話 一線を守る言葉』P144-145
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