
ユメ
@yumeticmode
2025年6月27日

空をこえて七星のかなた
加納朋子
読み終わった
感想
私は加納朋子さんの描く宇宙や星空にまつわるお話が大好きだなと改めて実感した。なんてロマンに満ちているのだろう、「空を想う力」(これは『魔法飛行』という作品の名言)を存分に掻き立てられる。
加納さんの紡ぐ物語といえば、一見独立しているかのように思われた短編が最後に綺麗な結びつきを見せる構成の巧みさも魅力のひとつだが、本作も例外ではない。バラバラに見えた短編が(もちろん一話一話が面白いので、各話の時点で読みふけってしまうのだが)終盤に見事な繋がりを見せたとき、ありきたりな表現だが星と星を結んで星座が浮かび上がったときのような感動を覚える。そのこと自体は文庫本の裏表紙に記されているあらすじからも予測していたのだが、先が読めない展開にワクワクと心躍らせながら読み進めるうち、ひとりの女性が北極星のように燦然と輝きを放つ美しい構成に気付き、期待以上の驚きと感動に満たされたのだった。
SFのような不思議なストーリー展開を繰り広げ、最後にあっと驚くミステリのような仕掛けが明らかになる——そして言わずもがな、連作の一部として緻密に物語に組み込まれている「孤舟よ星の海を征け」にとりわけ魅了された。


