ユメ "古くてあたらしい仕事" 2025年7月12日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年7月12日
古くてあたらしい仕事
夏葉社の島田潤一郎さんが、ひとり出版社を立ち上げるに至るまでの出来事や、本を届けることに対する信念を綴ったエッセイ。紡がれる言葉はとてもシンプルかつ、一文一文に真摯な祈りが込められており、しみじみと胸を打つ。転職活動に追われているタイミングで読んだこともあり、島田さんの仕事に対する想いがいっそう沁みた。最近は日々気持ちが落ち込んだり、焦ったりしてばかりだったのだが、島田さんの「人生は嘆いたり、悲しんだりして過ごすには、あまりに短すぎる」という言葉に大いに励まされ、よし、もっと前を向こうと思わされたのだった。 島田さんは本というものの持つ力をひたむきに信じていて、そのことにも心を照らされる。私は最近、前述の理由から本を読むことも、既に読み終えていた本の感想を書くこともなかなかできずにいて、それによっていっそう気持ちが滅入っていた。だが、そうではなく、私にとっての積読ってそれを読むことを楽しみにして頑張れるものだったなと思い出させてくれたのも本書だ。「一冊の本を家に持ち帰ると、その本の存在がしばらく、ぼくの日々の明かりとなった。それは、なんというか、生活の小さな重心のようなものだった」という言葉に大きく頷く。おそらく忙しない日々は当分続き、心のバランスが崩れそうになることもあるだろうけれど、大好きな本に重心をとってもらいながら一歩ずつ進んでゆこうと思えた。折に触れ読み返したい本と出会えて嬉しい。
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