
もん
@_mom_n
2025年8月10日

作文
小山田浩子
読み終わった
心に残る一節
@ 自宅
書店の新刊コーナーに積まれているのを見て(そういえば小山田さんの小説って読んだことなかったなあ)と思い手に取った一冊。
一言一言を噛み締めるように読んでいたら、とても100分では読み切れなかった。
作品全体の乾いた空気感は心地よく、でも書かれた内容は鋭く、読めてよかったという感想に尽きる。
p.12
人間が長生きした果てがこういう作品を嫌々あるいは嬉々として書いたり折ったりしてそれを老人施設の壁に晒されお上手お上手などと囃し立てられることなのなら、人間はどうして生まれてきて生きてきたのかというようなことをうっかり考えそうになる。
p.26
線香から白い煙がたつ、静かに思えるこの部屋にもちゃんと空気の流れがあって煙はあちこちに乱れる、線香を白い灰の中に立てて手をあわせた。子供のころからつい願い事を言いそうになる。
p.88
遠足のこと、運動会のこと、休みの日に家族で出かけたこと、書いているとつるっとなにかが出てくる、本当にはなかったこと、でも、それを書いたらそれが本当になる。嘘を書くんじゃなくて、あくまでも書いていたらそれが出てきたということを書く、私の話にお父さんが泣いたときのように。
