作文

16件の記録
- 糸太@itota-tboyt52025年8月11日人はそもそも聞きたいことしか聞かない。記憶もそう。覚えたいことだけ覚え、その中から誰かに話したいことだけを話す。 さて、語り継ぐと言ったときに、その対象はどこまで本当と言い切れるだろうか。直接の体験者であろうとなかろうと、語られるということは、それ自体に意味があるのであって、もしかしたら内容は二の次のような気もしてくる。 広島への原爆投下を語り継ぐとき、この「作文」という小説が取った方法は、類まれなる有効打であるように感じた。疾しさが疼くという、その点において。
- もん@_mom_n2025年8月10日読み終わった心に残る一節@ 自宅書店の新刊コーナーに積まれているのを見て(そういえば小山田さんの小説って読んだことなかったなあ)と思い手に取った一冊。 一言一言を噛み締めるように読んでいたら、とても100分では読み切れなかった。 作品全体の乾いた空気感は心地よく、でも書かれた内容は鋭く、読めてよかったという感想に尽きる。 p.12 人間が長生きした果てがこういう作品を嫌々あるいは嬉々として書いたり折ったりしてそれを老人施設の壁に晒されお上手お上手などと囃し立てられることなのなら、人間はどうして生まれてきて生きてきたのかというようなことをうっかり考えそうになる。 p.26 線香から白い煙がたつ、静かに思えるこの部屋にもちゃんと空気の流れがあって煙はあちこちに乱れる、線香を白い灰の中に立てて手をあわせた。子供のころからつい願い事を言いそうになる。 p.88 遠足のこと、運動会のこと、休みの日に家族で出かけたこと、書いているとつるっとなにかが出てくる、本当にはなかったこと、でも、それを書いたらそれが本当になる。嘘を書くんじゃなくて、あくまでも書いていたらそれが出てきたということを書く、私の話にお父さんが泣いたときのように。