
kei
@k3245
2025年8月11日

街とその不確かな壁(上)
村上春樹
読み終わった
村上春樹著「街とその不確かな壁」読了。
2025/8 1冊目
◎サマリ
・どこかで読んだことあるな…あー「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」か
・いまだに魅了される村上春樹の描く死を薄めた世界観
・過去に縛られる現代人の孤独に向きあう
◎書評
村上春樹好きとしては読まねばと思い、文庫化したタイミングで購入。
しばらく積読してしまっていたが、この3連休で一気に読んだ。
相変わらず村上春樹臭がプンプンの作品だ。笑
最初は壁に囲まれた不思議な街の図書館で「夢を読む」仕事をする男と文通相手の少女との恋に落ちる高校生のストーリーが入り混じる。
もう70過ぎてもこんな瑞々しい高校生の恋を描く村上春樹ってすごいなと思う一方で、こういうのがダメで村上春樹作品批判してる人も多いんだろうなと改めて感じた。
それになんかどっかでこの展開見たなあと思っていて、ちらっとネットの情報を見てみると、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の関連作とのこと。
このタイミングで過去作との関連作出すんだと驚いたのと同時に、なんかこれでいいの?とも個人的には思ってしまった。
でもなんだかんだ村上春樹好きとしてはたまらなくて…
急に自分の影と街を飛び出そうとしたりとか自分の大好きな女の子が急にいなくなったりとか、村上作品に共通する死を極限まで薄めて飲むような心を締めつけられる感を味わえる。
そして、後半は1人の中年男が急に仕事を辞めて図書館で働き始めるストーリー。
ここでも現代人の孤独に寄り添う村上作品の魅力が詰まっている。
情報化社会でありだれとでも簡単に繋がれる一方で、どこか心の奥底にみんな闇を抱えていて、ふとすると孤独に苛まれる。
そんな孤独をここぞというばかりに一気に作品に詰め込み、現代人に寄り添おうとする村上春樹はやはりすごい。
とても後編も気になる作品だ。

