よろこびイサンディ "鉄道と愛国" 2025年8月12日

鉄道と愛国
鉄道と愛国
𠮷岡桂子
本書は2部構成となっていて、後半の200ページを成す第2部は前半部とは異なる内容となっていた。 いつぞやに中国が掲げた「一帯一路」構想の中間報告的な内容だった。 中国が国家ぐるみで実施する侵犯のニュースは海洋面で大きく取り沙汰されている印象だが、本書は鉄道を介した陸上面での侵犯ともとれる内容だった。 80年前、武力によって卑劣なやり方を用いても日本が実現させたかった「大東亜共栄圏」なる構想を、中国は、ある意味、違う手法を用いて履行しようとして、ある程度まで進んでいる。 皮肉にも往時、日本がレールを敷いたのと同じコースで実行される場合もあるようだ。 本書には多くの国々が登場するが、それぞれに性格があり、十人十色でしたたかに、日中を含めた他国と付き合っている。 想像力の欠如が叫ばれて久しい日本と日本人に於いて、東南アジアや南アジア、東欧に至るまでの内容が取材を元に記された本書は、そのしたたかさを垣間見る一助となるかもしれない。
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