柿内正午 "ダンス" 2025年2月5日

ダンス
ダンス
竹中優子
昨年は「週間読書人」という書評新聞で、文芸時評という毎月の文芸誌に掲載される小説を読んでなんか書くという仕事をしていた。おおむねしんどかったが、たまにいい作品もあった。『ダンス』は、僕はとても大好きだ。はじめて滝口悠生の小説を読んだときのような、ふだんの呑気さをそのまま抱きしめてもらえたようなぬくぬくした嬉しさがあって、この一年、鹿爪らしくあれこれよんで文句を言ってきたけれど、この小説だけは素直な気持ちでまた読み返すだろうなと思っていた。じっさい、思ったよりも早く、こうして再読していると、やはり同じようなことを感じる。あははと笑って、すこし泣いてしまう。でもそれは何も特別なことではなくて、生きていて、本を読んでいる、それだけのことをそれだけのこととして頷いて聞いてくれるような一冊だ。
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