ダンス

24件の記録
- ☾@__youl2025年5月6日読み終わった下村さんみたいなひとになりたいと思うけれど、たぶん天地がひっくり返っても無理で、でもそれでも悪くないかなと思ったりした。 p.48 『下村さんはやせ衰えていくことが生命の輝きであるかのように、苦しんでいるんだか楽しんでいるんだかよく分からないダンスを踊っているようにも見えた。』
- 本を食べない山羊@goat1234562025年4月20日読み終わったとてもよかった……!! 特に最後の方の、30代で人が変わる云々は、30代ラストイヤーの自分に刺さりました。かまぼこらには天罰下れ。
- r@teihakutou2025年3月6日読み終わったp.73「その日も下村さんに晩御飯を作ってもらって、私は、ああ、下村さんのご飯を食べるの、慣れてきているなあ、と思いながらご飯を食べた。それは、なんというか私には少し怖いことだった。何が怖いとか、自分でも説明ができなかった。当たり前に自分の生活に他人がいて、その人がいることに自分が慣れて、無防備に過ごす、ということが途方もないことのように思えた。いつか酔っぱらった下村さんが「一緒に暮らす?」と適当なことを言ったとき、ものすごく傷ついてしまった自分を思い出した。このまま自然に、何気なくこの空気に溶けていけたらいいのになあ、と思うことも怖くて、自分の思考を自分で断ち切った。」 こんな主人公が20ページ後には、こう考える。 p.93「私は老夫婦の気持ちを、ちょっと想像したんだった。残りの人生、ちょっとずつ他人に迷惑をかけて生きていこうとふたりは話し合ったのではないかなと。他人の家で急にお風呂を借りるなんて、迷惑だし、入り込み過ぎだし、めんどくさいし、図々しいんだ。でも、ちょっとずつそうやって、誰かの世界に入り込んで、迷惑かけて、生きていっていいんじゃないか。」 こういう心境の変化を経た主人公が、ページを捲った先の二年後に結婚していて、わたしは、それはよかったね、と少しだけ思ったけど、驚いて残念に思う気持ちのほうが大きかった。わたしはこの主人公と感覚が結構近い気がして、共感を寄せていたので。だから、また数ページ捲った先の十五年後には離婚していて、ですよね、とほっとした。 そしたら次のページで、三十代を振り返って、「なんか、普通の人が高校生ぐらいで経験することを味わわせてもらったかもしれません」と言うので、ハッとした。わたしのまだ知らない十五年を主人公は経験している。ぐるぐる沢山のことを考えた十五年だったのだろう。それをわたしはこれから経験する。別人になる可能性のある三十代が待ち受けている。 一人の人間の終生変わらぬ一貫性を愛すべきものとして抱きしめつつも、人が変化することを受け入れて、いろんな時期のその人が背後にある状態のその人まるごとを肯定する作品。とても好きだった。
- 柿内正午@kakisiesta2025年2月5日再読中昨年は「週間読書人」という書評新聞で、文芸時評という毎月の文芸誌に掲載される小説を読んでなんか書くという仕事をしていた。おおむねしんどかったが、たまにいい作品もあった。『ダンス』は、僕はとても大好きだ。はじめて滝口悠生の小説を読んだときのような、ふだんの呑気さをそのまま抱きしめてもらえたようなぬくぬくした嬉しさがあって、この一年、鹿爪らしくあれこれよんで文句を言ってきたけれど、この小説だけは素直な気持ちでまた読み返すだろうなと思っていた。じっさい、思ったよりも早く、こうして再読していると、やはり同じようなことを感じる。あははと笑って、すこし泣いてしまう。でもそれは何も特別なことではなくて、生きていて、本を読んでいる、それだけのことをそれだけのこととして頷いて聞いてくれるような一冊だ。
- はぐらうり@hagurauri-books2025年1月15日読み終わった芥川賞候補。面白かった。コンビニ人間の亜種、という印象で、こういった作品から小説、とくに純文学を好きになる人も多いのではないかな。どこにでもいる、というわけではないものの、好感のもてる登場人物が多くて読後感も良かった。