
碧の書架
@Vimy
2025年8月14日

革命前夜
須賀しのぶ
読み終わった
積読をようやく読了。いつもながら世界観に感嘆。東ドイツと音楽を書くためにインプットした事を、一部しか出していないだろうと感じさせます。須賀しのぶさんの歴史小説はそこが好きです。奥行きがある。
主人公が日本人だから、他の国から来ている登場人物と比べて甘ちゃんに感じてしまいますが、読者が共感しやすいようにそうしているのかもしれない…シュタージのような組織の監視つきの日常なんて、ほとんどの人は体験した事がないですもんね。
音楽の話なので、様々なピアノ、バイオリン、オルガン曲が登場します。文字なのに旋律を感じる文章がさすが。
私は、もっと政治的な話も読みたかったのですが、活動家に片足突っ込んだ程度の一介の留学生が介入するのは現実的じゃないと思うし、この物語としてはこれでいいんだと思います。そう、「お前はピアノをやれ」って言ってる皆が正しいw
ベルリンの壁崩壊に直接関わっていない部分や、ラストの切り取り方も、だからこの幕切れなんだなって思いました。起承転結の結ははっきりしていない感じです。この後どうしたのかな、あの人はどうなったのかな、と余韻を残すラストが好きな方が向いているかもしれません。






