
haku
@itllme
2025年8月14日

何者(新潮文庫)
朝井リョウ
読み終わった
学生のときに映画を見に行った作品。
父の本棚にあったものをとって読んだ。
あの時は訳がわからなくて、ただ知っている俳優さんが出ているだけだった。
読み終わった今は少しドキドキしている。
それは楽しい感じではなくて、自分の心の深部を綺麗に覗かれた感覚。
拓人目線で語られていくこの物語は拓人に没入しないことはできず、どんどん息を止めていく感覚がある。
瑞月と光太郎。
彼らの言葉と姿は自分には持ってないものであるということを認められない。
ずっと、ずっと、否定的な拓人をわたしはいつしか俯瞰して見ることができなくなっていた。
最後の理香の言葉と拓人のラスト。
それはわたしの深部でもあり、ラストでもあった。
何者なのか?
という問いならば拓人こそ出てくる登場人物の中で1番何者でもなかったのではなかろうかと思う。
泥臭くって臭い事が前提だよと思った。
かっこわるくても踠き続けるって難しくて、ときに嫉妬するほど眩しい。
"本当の「がんばる」は、インターネットやSNS上のどこにも転がっていない。すぐに止まってしまう各駅停車の中で、寒すぎる二月の強すぎる暖房の中で、ぽろんと転がり落ちるものだ。"p.138








