
ショートストップ
@tabine_sora
2025年8月13日

謎ときサリンジャー
朴舜起,
竹内康浩
読み終わった
@ 電車
小説を読むことの面白みを存分に教えてくれる。そして奇妙な晩年を送ったサリンジャーが到達した境地を垣間見させてくれる。筆者の読みの鋭さに興奮しつつ、浮かび上がってくる世界の深淵に嘆声をあげつつ。
「ホールデンはこうして、どちらが死んだのかは問題ではない死、という地点に到達した。言い換えれば、そんな「死」を経験したホールデンは、もはやこの世に残された孤独な単独者ではなくなったのである。死者のために生きるという幻想にすがる必要もない。死者と「どちらか」の関係を結んだ生者として、死者との衝突で体の半分が凹んで失われたーーというより、空白を抱え込んだーー存在として、片足を引きずるようにして生きていけばよい。そして、それは決して茨の道などではないのである」

