
あむ
@Petrichor
2025年8月14日

コンビニ人間
村田沙耶香
読み終わった
序盤の丁寧な描写に油断していたら後半の展開は怒涛。考える時間を与えないのになぜか考えることをやめさせてくれない、読んだ後の時間も支配する作品です。
以下ネタバレ含みます
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中盤突然現れる迷惑客。
これを読者も、古倉恵子も、「排除されるべき者」とただ判断した。
ではこの物語が、迷惑客の生い立ちや心理状態を詳しく描写するものだったらどうなのか。
同情して、排除しないで、寄り添うのか。
ラストシーンで恵子がコンビニで見せた行動をどう感じるか?
実際に自分が居合わせたら?
行動に理由を求め、それが自分にとって正当であれば相手の存在自体をも正当とする。
物語としての浅い共感ではなく、明確な存在として恵子のことを考えれば考えるほど、自分は結局ムラの人間なのだと、その事実を叩きつけられる。
白羽は悪か?恵子の友人夫婦は悪か?家族は?コンビニの店員たちは?
誰を悪だと思うかは、自分の裁きのモノサシだ。
これは社会に馴染めない人間を理解するための物語ではない、自分もまた、モノサシで裁きを下し何者かを排除してきた人間だと、その事実を叩きつけられる物語なのだ。
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私はこの本を読んで私以外の人間がどう感じるのかすごく気になる。
だが、身近な人の感想は絶対に聞かないと決めた。
その人がなにを「排除」するのか、してきたのか、知らない方がいいこともある。




