
かおり
@6kaorin5
2025年8月15日

透明な夜の香り
千早茜
読み終わった
感想
読書日記
図書館本
@ 自宅
静かな、研ぎ澄まされた世界だ。
香り、色、記憶、孤独。
朔さんの声のような紺色の宵闇の中、ぼんやり灯された白い物語を読んでいるようだった。
「香り」 は去ることながら、かなり「色」も感じた。
そして、思っていたより大人な物語。
官能とまではいかないが耽美で優美な雰囲気が漂うのは、やはり、香りや色、食事など五感がテーマだからか。
朔レシピのハーブやスパイスを使った料理が美味しそうだし興味深い。
トマトケチャップを手作りしたくなった。
後半、一香と朔の孤独と記憶、息遣いが痛くて、なぜか読むのが苦しかった。
でも、二人共に変化を受け入れて、新しい薔薇が咲くこれからに少しの希望。
『人形たちの白昼夢』を読んで、私は こちら側の千早茜が好きだ、と思い本作を読んでみたが、『人形〜』より遥かにこちらの方が好みだった。洋館に曰くありげな調香師、という設定も好み。
途中、少しマンガちっくだなぁとは思ったけれど、新城や源さん、さつきちゃんに大家さんという愛すべきキャラもいいスパイスだ。
続編となる『赤い月の香り』も読みたい。いや、読む。
第6回渡辺淳一文学賞受賞作。





