
ハム
@unia
2025年8月15日

ある行旅死亡人の物語
伊藤亜衣,
武田惇志
読み終わった
行旅死亡人という言葉を初めて知った。
現金3400万を残して孤独死した身元不明の女性について、警察でもわからなかったことを記者が明らかにしていくミステリー仕立てで読みやすい。
孤独死であってもその人の生きた跡は確実に残っているという事実にどこかほっとした。
本作の女性は意図して孤立していくことを選んでしまったのかもしれない。
ただ、うまくコミュニティを形成することがあらゆる問題の解決につながるという理想があちこちで叫ばれていても実際そううまくいかないのが社会の実情。
人とのつながりなしには生きられないのが人間なのにこうしたつながりが途切れる皮肉を改めて強く感じた。
ルポタージュというテイストだから読者が謎解きを期待しがちなんだろうけど、人生にはわからないままの部分が必ず残る、でも確かに生きた跡はそこにあるという現実が描かれていて、そこにこそ読む価値あるなと思う。





