
高橋|往来堂書店
@frog_goes_home
2025年8月15日

我が手の太陽
石田夏穂
読み終わった
石田夏穂作品にしては珍しい、いわゆる一般的な会社員小説ではなくむしろ正反対(?)の職人小説だった。溶接まわりの専門用語が飛び交っていてなんのこっちゃ?と思いつつ読み進めていたが、いつのまにかのめり込んでいたよ。それどころか今の自分の境遇への悩みをザクザク切り開いていくような手捌きだった。肉体および能力が歳とともに枯れていくのは仕方ないにしても、これとどう向き合えるか、そしてどう対応するべきか……その極端を痛々しいまでに表現した傑作でした。アイデンティティの置き場所は自ら決めることができない、そのやるせなさたるや。



