
高橋|往来堂書店
@frog_goes_home
文芸・文庫・海外文学・食カルチャー棚担当です。本よりビールが優先されることがままある。
- 2025年8月22日あなたが政治について語る時平野啓一郎買った「とき」が私的な領域を指している一方で「時」は社会の流れにおける一部分、という印象がなんとなくあって、だからこの場合は「時」の方が自然なのだろう、と無駄な深読みをするなど。開かれがちな漢字をあえて閉じてみる、なんて言い方をすると単なる気まぐれのように見えるけれど。
- 2025年8月21日酒亭DARKNESS恩田陸読み終わった旅情×酒場×怖い話……? 一見すると不可思議な取り合わせに見えますが、これが見事なマリアージュ! 煮込み料理の温かさと背筋の冷える怖気が同居した、愉楽と幻惑の短編小説集でした。これを持って酒場へ……と言いたいところですが、帰路の安全を保証できないので迂闊なおすすめはできません。
- 2025年8月20日
- 2025年8月18日星に帰れよ新胡桃読み終わった人間は巨大で複雑な多面体のようなもので、足元にぽつんと立つ他者の視点からはすべての面を詳らかに確認することができないし、とうぜん自分自身ですらも全面を把握することはかなわない。そういう事実があることに気づかず、あるいは気づいたとしても蓋をして、勝手に期待して勝手に失望する傲慢さよ。「おそらく、解釈されるのは一番の屈辱だった。(p.100)」複雑さをそのまま受け入れる下地は、おそらく人間には備わっていないのかもしれない。 これ書いたとき(文藝賞受賞時?)まだ高校二年生だってよ。膝から崩れ落ちたね。まもなく新作が発表されるとのことで、とても楽しみ。それまでに二作目も読んでおきたい。
- 2025年8月15日我が手の太陽石田夏穂読み終わった石田夏穂作品にしては珍しい、いわゆる一般的な会社員小説ではなくむしろ正反対(?)の職人小説だった。溶接まわりの専門用語が飛び交っていてなんのこっちゃ?と思いつつ読み進めていたが、いつのまにかのめり込んでいたよ。それどころか今の自分の境遇への悩みをザクザク切り開いていくような手捌きだった。肉体および能力が歳とともに枯れていくのは仕方ないにしても、これとどう向き合えるか、そしてどう対応するべきか……その極端を痛々しいまでに表現した傑作でした。アイデンティティの置き場所は自ら決めることができない、そのやるせなさたるや。
- 2025年8月13日
- 2025年8月12日
- 2025年8月12日
- 2025年8月11日デッドライン千葉雅也読み終わった千葉雅也氏の小説にはじめて触れる。抽象(フランス現代思想)と具体(ゲイカルチャー)、二つの世界を環状に往復しながら、じりじりと迫りくる崩壊に怯え抗う男の話。徳永先生のお人柄が素敵すぎる! 私小説かと思ったが本人いわく「私小説の脱構築」らしい。なるほど? 他の作品もいずれ読みます。
- 2025年8月11日白鯨 上メルヴィル,ハーマン・メルヴィル,八木敏雄まだ読んでる噂に聞いていた、やけに美味しそうなチャウダーが登場! 「それはハシバミの実ぐらいの小型だが多肉質のふとったハマグリに、くだいたビスケットと、塩豚の薄切りをまぜ、バターをたっぷりとかしこんでこくをつけ、塩と胡椒をしっかりきかせた逸品だった。」(p.195-196)
- 2025年8月10日文藝春秋 2025年 9月号佐藤優,保阪正康,塩野七生,山田詠美,桐野夏生,藤原正彦読み終わった芥川賞選評、こんなに食い入るように読んだことが今まであっただろうか。とても面倒見のいい先輩たちだなあとしみじみ思う。以下敬称略──山田詠美と島田雅彦、「受賞作なし」に苦い思いをさせられたからこその、慰めるわけでも突き放すわけでもない温度感がいい。吉田修一、『鳥の夢〜』を一瞬間取り図ホラーだと勘違いしたらしく笑った。平野啓一郎、流石の読み巧者。奥泉光、推したい作品を「わが猫」と表現していてチャーミングすぎ。全体を通して「独特」という単語が何度か出てきて、そこをもっと詳しく教えてよ!!となるなど。
- 2025年8月9日
- 2025年8月5日白鯨 上メルヴィル,ハーマン・メルヴィル,八木敏雄読んでる夏の課題図書!昨晩は中間報告会と称して、読んだところまでの感想を送り合った。当然ながら視点も違えば掘り下げるシーンも二者二様で、まるでふたつの脳みそで読み進めている感覚。ありがたい! しかしまだまだ道のりは長い。
- 2025年8月3日
- 2025年8月2日開墾地グレゴリー・ケズナジャット読み終わった『トラジェクトリー』から遡っての本作。どちらも同じテーマを扱っているけれど、こちらの方がよりストレートな感情が込められている印象でした。「遠きにありて思ふもの」といっても、それは帰るべき故郷がどこかにあることを前提としている。パーソナルスペースとしての「母語」、そして家族という集団への帰属意識は、あって当たり前のものではないということ。
- 2025年8月2日白鯨 上メルヴィル,ハーマン・メルヴィル,八木敏雄読んでる夏の課題図書!この夏はこの小説とともにある!いざ出航! 一緒に読み進めてくれる友人がいるのがとてもたすかる。でかい小説は後回しになりがちだからね。しかし小説は読まないと読めないので、だから読んでいくしかないのである。なにをいっているんだ。
- 2025年8月1日
- 2025年7月30日黄金比の縁石田夏穂ナツイチ読み終わったまたしても石田夏穂にやられた! なんだこれ面白すぎる。人事採用、ひいては他者をジャッジすることへの疑念をこんなふうに表現するなんて。どこにでもありそうで、どこにでもあったら困る、けれど実は本当にそうなんじゃないかと思わせる状況設定が巧みすぎるんだこの人は。ねばっこい主観に振り回されてきた主人公が客観的な仕組みを設計して復讐を目論む、という構図も痛快。石田夏穂ぜんぶ読むマシーンにおれはなった。といっても未読はあと一冊。
- 2025年7月30日ガラスの動物園テネシー・ウィリアムズ買った@ 栄眞堂書店ソウルメイトの上半期ベストとあらば!ということで地元の店で見つけたので迷わず購入。 亀有駅北口の栄眞堂書店、アダルト強めなのであまり人におすすめできないのですが実は渋い棚作りなのです。お近くにお立ち寄りの際に魔が差したらちょっと覗いてみてください。
- 2025年7月30日
読み込み中...