
もん
@_mom_n
2025年8月16日

授乳
村田沙耶香
読み終わった
心に残る一節
@ 図書館
村田さんの小説を読んだのはこれが6冊目だが、『授乳』と『御伽の部屋』は特に好き。
奇妙で不気味で狂気を感じるのに、なぜかそれが心地よくて他人事とは思えない。こういう物語が存在していることは救いだ。
『御伽の部屋』を読みながら、木下龍也さんの「神さまを殺してぼくの神さまにどうかあなたがなってください」という大好きな短歌を思い出した。
p.39
夕焼けが強いときには特に、赤い空にさらに濃い朱色で浮かび上がるなまめかしい鳥居が、意思をもった生き物のようでさらに不気味に見えてしまう。たまにその鳥居の足下に犬の糞が落ちていて、それを見るとき、なぜかわからないが私はざまあみろと思う。
p.134
目をつぶると視界は瞼で遮られてしまい、皮膚の内側に自分が閉じ込められていると思うとその狭さが息苦しく、目を開けずにはいられなかった。
p.155
そうしているとこの人はきっとあたしの神さまなんだとわかる。しかも、あたしをえこひいきしてくれる神様だということが。自分が何か大きくて暖かいものにえこひいきされることに、ずっと憧れていたことを知る。


