授乳

27件の記録
- もん@_mom_n2025年8月16日読み終わった心に残る一節@ 図書館村田さんの小説を読んだのはこれが6冊目だが、『授乳』と『御伽の部屋』は特に好き。 奇妙で不気味で狂気を感じるのに、なぜかそれが心地よくて他人事とは思えない。こういう物語が存在していることは救いだ。 『御伽の部屋』を読みながら、木下龍也さんの「神さまを殺してぼくの神さまにどうかあなたがなってください」という大好きな短歌を思い出した。 p.39 夕焼けが強いときには特に、赤い空にさらに濃い朱色で浮かび上がるなまめかしい鳥居が、意思をもった生き物のようでさらに不気味に見えてしまう。たまにその鳥居の足下に犬の糞が落ちていて、それを見るとき、なぜかわからないが私はざまあみろと思う。 p.134 目をつぶると視界は瞼で遮られてしまい、皮膚の内側に自分が閉じ込められていると思うとその狭さが息苦しく、目を開けずにはいられなかった。 p.155 そうしているとこの人はきっとあたしの神さまなんだとわかる。しかも、あたしをえこひいきしてくれる神様だということが。自分が何か大きくて暖かいものにえこひいきされることに、ずっと憧れていたことを知る。
- 読書猫@bookcat2025年7月31日読み終わった(本文抜粋) “母は両腕を大きく開いて、深呼吸みたいな姿で私をかばっていた。母は手のひらをめいっぱい開き、自身も手のひらのようにめいっぱいひろげ、母が開け放った扉から新鮮な空気が急激に流れ込んできた。母の広がった指の間を見ながら、青空を外から引きずり込んでいるのだという気がして、恐怖で口がきけなくなった。驚いたことに母の背中は、少しも震えていなかった。確かにその時、母からにょきにょき「母」が生えてきたのだ。” (「授乳」より) “美佐子は小学生らしい、おぼつかない手つきでバーガーを食べ始めた。指先がまだ未熟で器用に操れないのか、ふんわりと優しくバーガーを持てず、力ずくで握りしめているので中指と親指がパンの中にめりこんでしまっている。あたしはああ、この子って本当にまだ子供なんだなと思った。次の瞬間美佐子はふいにリュックのポケットからリップクリームをとりだし、慣れた手つきでそれを塗り始めた。大人の女が口紅を塗るような手つきでそれを塗りたくり、小指でリップを唇になじませている。最後に唇の上下をすりあわせ開くと、しっとりと濡れた唇があらわれた。急に美佐子に成熟した女の生き霊がとり憑いたようであたしはなんだか気味が悪くなった。” (「コイビト」より) “あたしは彼がするのと同じように襟元を正しながら、唇を「ぼく」と動かした。声を出さず、要二がするのと同じ動きで唇を動かし、「ぼく」という音声をなぞる。” (「御伽の部屋」より)
- ぽむぽむ@pompom2025年3月5日村田沙耶香の嫌いな人の描写が好き。 生身の生を感じさせるところとか、人間味のなさに好意を抱くんだなーって思うと楽しい。 御伽の部屋が好きで、何度も読み返してます。