
fuyunowaqs
@paajiiym
2025年8月17日

きつね
ドゥブラヴカ・ウグレシッチ,
奥彩子
読み始めた
WomenInTranslation
#WITMonth 2025として。作者のドゥブラヴカ・ウグレシッチは旧ユーゴスラヴィアから亡命したクロアチア語作家。
六部構成の長編。
第一部はまったく楽しめなくて苦しかった。神話や物語論、民俗学の視点はいいとして、洋画に関する広範な知識が求められる。自分にはその下地がないから、わからないことだけがわかる。映画作品の話をしている場面も、そうでない場面も、つねに映画にまつわるイマジネーションが求められた。
諦めてほかの本を……と散漫になりつつ読み進めた第二部が意外にもおもしろくて驚いた。
映画の知識を要求される点は相変わらずだが、あらゆるものに対して文章がとげとげしくて、読みながら引っかき傷のようなものが無数にできるのを感じた。語り手を含む作中人物にも、彼女たちを取り巻く世界にも、そして当然読者にも噛みついてくる。とがった表現の根本には鋭い洞察があり、冷笑とは無縁の生真面目さの表れと見えた。あるいは、露悪とラベリングするにはあまりにもささやかな抵抗。
第二部を楽しめたことがうれしくて、今なら第一部も違った読み方ができるかも〜〜〜とページを遡ってみたが、ぜんぜんだめだった。
