きつね

きつね
きつね
ドゥブラヴカ・ウグレシッチ
奥彩子
白水社
2023年10月3日
6件の記録
  • fuyunowaqs
    fuyunowaqs
    @paajiiym
    2025年8月24日
    #WITMonth にぴったりの本だった。また来年の8月に読みたい。楽しくないとかわからないとか言いながらも、第一部からずっと芯の通った語り手に対する信頼が積み上げられていくので、読み進めることに不安はなかった。締めくくりとなる第六部では、見事にその信頼に応えてもらったという満足感が得られた。親しみやすいシーンだけをつまみ食いするのではなく、距離を感じた部分や、作中で挙げられた著作物にも目を通してみてよかった。 第五部は痛快なナボコフ滅多斬り、第六部は姪との生活で得た実感に拠る文学の今後に対する眺望。連関するきつねというモチーフについて、語り手のいだくイメージと個人的なイメージが交わらない点も多いため毎回チューニングが必要で、その違和感も楽しかった。 装画はさかたきよこさん、装幀は仁木順平さん。
  • fuyunowaqs
    fuyunowaqs
    @paajiiym
    2025年8月23日
    第三部も語り手中心の述懐。偶然の出会いと別れが早回しのように語られるが、日常のあちこちに戦争の爪痕と面影が残っている。きつねも出てくる。"侵入者"によれば、エジプトでは地雷原のことを「悪魔の庭」と呼ぶらしい。村でも集落でもない、"地図上の染みのような"場所の話。星と地雷だけの場所。 第四部は第一部に似た印象で、個人的には楽しめなかったので読み流した。戦争や革命に翻弄されたロシア・アヴァンギャルドのオベリウ派の特定人物に執着する女性作家、を追いかける語り手による物語。記憶に残ったのはスプリンクラーのたとえ。また、モーツァルトに対するサリエリは、むしろモーツァルトよりも便利なアイコンだと感じた。ここでもやはりきつねについて言及される。
  • fuyunowaqs
    fuyunowaqs
    @paajiiym
    2025年8月17日
    #WITMonth 2025として。作者のドゥブラヴカ・ウグレシッチは旧ユーゴスラヴィアから亡命したクロアチア語作家。 六部構成の長編。 第一部はまったく楽しめなくて苦しかった。神話や物語論、民俗学の視点はいいとして、洋画に関する広範な知識が求められる。自分にはその下地がないから、わからないことだけがわかる。映画作品の話をしている場面も、そうでない場面も、つねに映画にまつわるイマジネーションが求められた。 諦めてほかの本を……と散漫になりつつ読み進めた第二部が意外にもおもしろくて驚いた。 映画の知識を要求される点は相変わらずだが、あらゆるものに対して文章がとげとげしくて、読みながら引っかき傷のようなものが無数にできるのを感じた。語り手を含む作中人物にも、彼女たちを取り巻く世界にも、そして当然読者にも噛みついてくる。とがった表現の根本には鋭い洞察があり、冷笑とは無縁の生真面目さの表れと見えた。あるいは、露悪とラベリングするにはあまりにもささやかな抵抗。 第二部を楽しめたことがうれしくて、今なら第一部も違った読み方ができるかも〜〜〜とページを遡ってみたが、ぜんぜんだめだった。
  • 踏み跡
    @fumiato_24
    2025年7月24日
  • hifumii
    hifumii
    @higufumi
    2025年7月4日
  • 『オリガ・モリソヴナの反語法』を読んだときはとてつもなく強烈な現実があったのだと思ったけれど、たぶんそれはもっといたるところにあったんだろう。一昔前の建物が並ぶ、寂しいザグレブの街を思い出した。大通りを歩くうちなんとなく怖くなり、ホテルのある住宅街へ戻ったら、公園で子どもたちが遊んでいて安心したことも。
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