益田 "ナショナリズムと政治意識" 2025年8月17日

益田
益田
@msd
2025年8月17日
ナショナリズムと政治意識
ナショナリズムとは、一言で言ってしまえば、同じ文化を共有する人々がいるという言念のもと、そういった同じ文化の人々で公的な営みを進めていきたい、という意識や運動のことである。本書が全体を通じて示したいのは、ナショナリズムに関わるような主張は多様性を持つ政治の意識であること、そしてまた、現代の政治を読み解く選となっているということである。実際、研究者の間では「ナショナリズムは自身の政治色を持たない」(中略)などと表現されることがある。 政治の対立や争点を、単純な左右の一つの評価軸だけで見ているとわからないことがたくさんある。そこに、ナショナリズムという別の次元を補助線として用いることで、現代の政治的対立への理解がクリアに見えてくることがある。もちろん、潜在的に使える補助線の中には、ナショナリズム以外にも様々なものがあるのかもしれない。しかし本書では特にナショナリズムとのつながりにフォーカスを当ててみることで、現代政治を彩る様々な政治現象を見ていくことにする。 よくある「右翼≒ナショナリズム≒反リベラル≒権威主義」といった連想だけでは説明できない現象が多々あること、そういった連想が時に根拠に基づかない思い込みであることを示すのが本書のゴールである。もう少し正確に言えば、そうした連想がつながる国や時もあれば、そうではない国や時もある。それを示すことが着地点だ。(p20-21)
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