
ユメ
@yumeticmode
2025年7月22日

生まれた時からアルデンテ
平野紗季子
読み終わった
心に残る一節
感想
書き手の個性が爆発しているエッセイって、読んでいて痛快だ。愛や情熱が突き抜けている姿は、見ているだけでこちらも嬉しくなってくる。冒頭の「食中毒宣言」に「きっと食べものは想像もつかぬようないびつな多角形をしていて、それぞれの先端が私を突き刺す〜」という表現が出てくるのだが、平野さんの文章にも私は同じような印象を受けた。唯一無二の尖った言葉たちに圧倒され、食に対する感性の鋭さにひれ伏すほかない。平野さんが小学生の頃につけていた手書きの「食べ歩きダイアリー」も掲載されているのだが(ひとの手書きの日記って、見ているだけでワクワクする)、当時から才能の片鱗が見え隠れしていて感服した。
印象深い言葉は数あれど、「アンディ・ウォーホルの絵は見られるし ビートルズの音楽は聴けるけど 50年前のスパゲティを食べることはできない。だから私は本を読む。知らない過去は未来なんだ」という一節にとりわけ感銘を受けた。巻末に収録されている、食にまつわる書籍の紹介リストもありがたい。



