
八太
@reads_0707
2025年8月19日

赤と青とエスキース
青山美智子
かつて読んだ
心に残る一節
すべての章に赤と青を連想させるモチーフが登場していて、特にあかねが閉経を迎えた時の「私はもう、身体の中心から出る鮮やかな赤を見ることはない」という表現が巧妙でずっと頭の中に残っている。あかねがパニック障害になる章があり、すごい共感できた。
「こんなに頑張ってきたのに、何がいけなかったんだろう。人生に裏切られた気分だった。」
休みをもらっても頑張ってしまう。すごくよくわかる。休んでいるはずのなのに心がすり減っていって、このまま何もできなくなるんじゃないかという気持ちに蝕まれていく感じ。
こんなに頑張ってきて、何が悪かったの?私の何が悪くて私はこんな病気になったんだろう。めちゃくちゃ思った。本当にそう思った。
生き延びなさい。とにかく、生き延びなさい。それだけでいい。そうすればいずれ、なんでもできるようになる。どこへでも行けるようになる。いつまでも同じものなんて一つもないのよ。
こんな世の中でまともに生きようとしたら誰だっておかしくなっても不思議じゃないわよ。
人生は一回限りじゃない。
人生は何度だってある。どこからでも、どんなふうにでも始められる。
でも、それを経験する体は一つしかない。
だから、できるだけ長持ちさせなきゃ。
本当に小説家はすごいなと思う。心をすっと救ってくれて、固まっていた私に優しく染み込んでくる。
これだけの言葉を紡ぎ出すのに、青山さんはどれだけの思考と経験をしたのだろう。



