
益田
@msd
2025年8月20日

ナショナリズムと政治意識
中井遼
「自国の伝統文化をその豊かな自然と牧歌的風景の中に求め、その生活様式こそが自分たちの本来の生き方であり文化であると主張する場合、ナショナリズムと環境主義は手を取り合うことになる。「『私たち』の山や丘、私たちの川や瀬や草原、それらの格別な美しさを賞賛しないナショナリズムなど考えられない」とはナショナリズム研究の第一人者スミスの言だ。環境主義からみて、ナショナリズムは、ありうべき自然と調和した自分たちの本来的な生活様式を回復しようとする運動となり、ナショナリストにとって環境主義の主張は自分たちの生活様式の姿を提供する原理となる。祖国の自然と環境を取り戻せ、というたぐいの主張が生まれる時、ナショナリズムと環境主義はむしろ同じ方向を向くことになる。この現象は、「エコナショナリズム」「環境ナショナリズム」
「緑ナショナリズム」(Eco-nationalism/Environmental nationalism/Green nationalisn)などの様々な名称のもとで、学術的にも議論されている。」(p117)
