
私の本棚
@book_uo
2025年8月22日

記憶を食む
僕のマリ
読み終わった
"頭で覚えていないようなことでも、匂いや音で急に記憶の蓋がこじ開けられることもある。
忘れて、思い出して、また忘れて、そんなふうにあと何十年も自分の内面と向き合っていくことになるのだ。"
日常の切り取り方が素敵で、
読んでると過去の些細な出来事を思い出す。
旦那さんとの日々が綴られてる部分が好きで、
"淡々と話して笑って、そして話し疲れて眠る。夏休みの前日みたいな、子どもじみた日々を送っている。"
この日々が理想的で、何よりもしあわせ...
著者同様、記憶力の良さゆえ、忘れたくても忘れられない記憶もあるけど、
"同じ感情が何十年も続くことはない"。
その言葉に救われる。
装丁がかわいくてお気に入りで、手に取るたび嬉しい。
透明のブックカバーを付けて、大切に読み返したい本になった
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✎︎とらえきれない表情を、人は「味」と呼ぶのではないだろうか。
✎︎昨日と同じ穏やかな一日が、ただ続いていくということも、幸せだなと思う。毎日、毎秒、自分を癒してくれるものが増えている。
✎︎誰かが生み出した作品に触れるのはまさに仕合わせで、自分にとって大切なものを知らず知らずのうちに引き寄せていることに気づいた。
✎︎生きている間何年も覚えているような大きな出来事も、何十年越しに思い出した出来事も、自分の心を照らすたましいの欠片として、等しく光っている。
✎︎話したことも話さなかったことも全部本当で、全部確かなことだった。私はこんなふうにずっと、自分の欠片を探し続けるのだと思う。
✎︎ただ、いつか来るかもしれないその日まで、いつか死ぬことも忘れてしまうくらい楽しく生きたい。大丈夫、いつかはみんな死ぬのだから。
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