しななくていいよ "小鳥とリムジン" 2025年2月4日

小鳥とリムジン
2月4日 読了 小説です。 苦しい環境にあり、人を信頼することをあきらめ、自分の人生すらもあきらめていた主人公が、かけがえのない人たちと出逢うことで自らの心と体を取り戻していくお話。 物語は終始性に対すること、生に対することに重きを置いていて、帯の、「いいにおいをかぐこと おいしいものを味わうこと いやなことにいやだと言うこと 大好きな人に触れること」というのが的を得ているなと思いました。 セックスに嫌な思い出を持っている主人公が、最終的にはセックスができるようになる、愛を育むことが出来るようになる、というのが、悪い目で見れば人の人生、ただまっすぐそれだけの話で、ミステリが好きな人とかはあっさりしていて苦手かもしれないけど、私は読後なんだか清々しい気持ちに包まれました。 関係ないけど表紙を剥ぐと手紙が書けるようになっていて、誰かにプレゼント出来るようになっているけど、これをプレゼントするのはトラウマシーンは繊細だし、かと言って純情の物語として贈るにも結構ハードでは?逆に性教育としては良いのか? でも、真っ直ぐ綺麗事みたいに性行為は愛情表現なんだという世界があると知れるのはなんだかいいな。自分だってそんなに愛情表現じゃない性行為をする訳じゃないけど、改めて真っ直ぐ言われると、そういう考え方は危うさもあるけど必要というか、そういう人もいる、そういう事もある、というのが知れるのは本の醍醐味だと思う。性的な辛いシーンも、自分の人生じゃ見えないことが沢山見えて、ご飯のシーンも、いい匂いがするいい本だった。 作中に出てくる「むしやしない」という言葉が気に入ったので、これから使いたい。
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