
読書日和
@miou-books
2025年8月22日

古都
川端康成
読み終わった
昭和36年に新聞連載小説として発表された本作は、京都を舞台に、四季折々の風景や年中行事、名所旧跡とともに物語が静かに、物語が進む。
当時の京都の空気感にどっぷりと浸れる幸せ。
物語の主人公は、老舗呉服店の一人娘・千重子。美しく育った彼女には出生の秘密があり、祇園祭の夜、偶然にも生き別れとなっていた妹・苗子と出会うことで、運命の歯車が動き始める。
千重子の思いやりに満ちた優しさと、苗子の控えめで健気な姿。お互いを思う気持ちが言葉以上に伝わってくるようで、現代では見かけることの少なくなった、奥ゆかしい美徳に心がふくふくと温かくなりました。
自然、伝統、そして人の心の機微。「日本の美」を言葉で改めて感じさせられる一冊です。
ラストには深い余韻が残り、読む人によって解釈が異なるのも、大きな魅力なのかも・・。
静かで美しい時間をくれる、とても素敵な作品に出会えました。それにしても千重子モテすぎ!
