つたゐ "熊になったわたし 人類学者、..." 2025年8月22日

つたゐ
つたゐ
@tutai_k
2025年8月22日
熊になったわたし 人類学者、シベリアで世界の狭間に生きる
熊になったわたし 人類学者、シベリアで世界の狭間に生きる
ナスターシャ・マルタン,
大石侑香,
高野優
読み終えた。 カムチャツカの森で先住民族を研究していたフランス人の筆者が、ある日森でクマに顔をかじられてしまう。 クマは気を変えて立ち去り、筆者は生き延びるが…「クマと繋がってしまった」。 ロシアで一度治療を受け、その後フランスでも幾度も治療を受けながら、クマが入り込んだ身体/精神の違和から再びカムチャツカの森へ帰り……。 筆者の独白で、内心の吐露が多く、「わからない」ことばかり。だからと言って困惑するわけではなく、語りというものの散漫さと、だからこそしっかりと受け取れるものがある、というのかなあ。 何回読んでも何言ってんのかわかんないけど「よかった」みたいな感想を抱く本なんだと思う。本から受け取ったことは、何重にもパッキングされていて、何が入っていますとかはうまく説明ができない…。 良い本というのは、何を持ち帰ったというのがその時にはわからない、生きていく中で包装紙が少しずつ剥がれていって、人生のその向こう側にたどり着いた時にようやく中身を開けられて、「そうだったんだ」と理解する「かもしれない」と思える本だなあと思っている。
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