
ハム
@unia
2025年8月22日

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?
小野寺拓也,
田野大輔
読み終わった
短いながらも歴史との向き合い方の本質が詰まってる。
ナチスをテーマに事実、解釈、意見という三つの層のバランスを考えることの重要性がよく理解できる。
事実から解釈をすっ飛ばして意見。
恣意的な切り取りをもとにさも正しいことのように声高に叫ぶ。
SNSがあるために余計にラウドスピーカーが幅を利かせやすい現状を冷静に捉えるうえでも本書はかなり有意義だと思う。
人は誰しもバイアスがあり、無色透明な歴史認識などできないというスタンスを受け入れ、だからこそ積み上がっていく解釈を無視することなく取り入れる姿勢が問われると。
この本自体が主観的な切り取りでナチス全否定に極振りしているみたいな意見もありそうだけど、強い言説という商業的なものもあるにしても、あえてわかりやすい構図を見せる意図があるからだと思うし、ナチスの評価をめぐる議論に答えを出すうんぬんでなく、歴史学とは、専門家の意義とは、現代の情報環境とはなどを考えるうえで価値があると思った。




