
もん
@_mom_n
2025年8月22日

鳥の夢の場合
駒田隼也
読み終わった
心に残る一節
@ 自宅
書き出しの1行目で(あ、これ絶対好きなやつだ)と確信した。
最後まで読んで(やっぱり好きだったなあ)と痛感した。
時間、意識、感覚、そういう目には見えないものが言葉となって目の前に立ち上がってきた。
作品全体の温度や手触りもとても心地よかった。
p.3
目を閉じると何も見えなくなった。けど実際には目はまだ、まぶたの裏を見ている。見ることを止めるという機能が目にはない。まぶたの裏は、光がまったくないから見えることがない。だから見えない。けど見ている。
p.51
「正確に言うなら、思い出そうとすると忘れるねん。ぼんやりとした状態のままなら、ぼんやりとしたままつかまえていられる。けど具体的にあのときは、って思い出そうとすると、そこから忘れていく。焦点を合わせようとしたところがたちまち、塗りつぶされてしまう。それって何か、夢みたいじゃない?」
p.75
でもじゃあ夢をみる、という言い方は、こういう感じ方からするとすこしへんな気がする。夢は、みているのではないんじゃないか。そしてきいているのでもなく、さわっているのでもない。それは五感の零番目。五つに分かれる前の感覚。ただただ夢を「覚える」ということ。
p.113
現在をまんなかとして時間を谷折りにし、過去と未来がおなじ方向で重なっているみたいな感覚に変わっていた。過去の到来を想像し、未来を回想するような心地だった。