草大福 "ババヤガの夜 (河出文庫)" 2025年8月22日

草大福
草大福
@yadokari15
2025年8月22日
ババヤガの夜 (河出文庫)
たくましくて、いかつくて、むちゃくちゃつよい女が、ヤクザの男たちをぶん殴って蹴り飛ばしてぼこぼこにする、という痛快な展開で初っ端数ページから物語に引き込まれてしまった。 あと脱衣シーンがかっこいい。妙齢の女性が命令されて脱がされてるのにエロスが全くなく、かっこいいという不思議。 ミステリーの賞をとったというのが途中まで全然理解できなかった。舞台がヤクザの家なので人はたくさん死ぬが、謎はない。でも先が気になってどんどん読み進めてしまった。 そして終盤、なんでこれがミステリーの賞を取ったのかわかる。 とにかく読んでぇぇ。面白いから読んでぇぇ。暴力表現はR15って感じだし、放送禁止用語連呼してるから若干人に勧めづらいけど、面白いからッ!!読んでッッ!! 王谷晶さんは父の回数に続いて2作目。父の回数とは全然違う話で、作風の振り幅が凄いなと思った。でも王谷さんの描く女性は逞しくて体格が良くてなんか強くて好きだ。 椎名林檎とのっちのコラボ曲「初KO勝ち」の「太くなりたい/重くなりたい」という歌詞が好きなんだけど、太くて重くて強くて周りを薙ぎ倒す、物理的な強さが欲しいと無意識に思っているのだろう。贅肉はタップリついているけど、強くはないワタシ……。 父の回数との共通点もあって、カタにはまらない人間関係が描かれているところは王谷さんの描きたいテーマとして共通しているのではないかと感じた。依子と尚子もそうだし、依子と柳もカタにハマらない関係性だったなと思う。でもどっちの関係にもあった「信頼」が良いなと思う。 王谷さん、どんな方なんだろう。次はエッセイが読みたい。
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