七瀬由惟/Yui Nanase/あーしぇ "霊性の日本思想" 2025年8月23日

霊性の日本思想
霊性の日本思想
末木文美士
王権(権力側)と神仏の関係から日本思想史を大伝統、中伝統、小伝統にわける方法論は、そこに歴史のなんらかの断絶や跳躍があるとみる考えかたのように最初は思えたのだけれど、霊性をひとつの軸として考えると、この分類はゆるやかに変化を遂げる日本人の考えかたをうまく表していると、思えるようになった。 本書後半の第二部は、近現代日本の個別のイシュー(憲法とか、カルトとか)を取り上げているので、いわゆる霊性とよばれるものはやや見えにくくなってしまう。果たしてこののち、日本は、ミクロ伝統とか、ナノ伝統とか、さらに目には見えない伝統へと(それは伝統というのか)、突き進んで行くのだろうか。スピ全盛のこの時代だからこそ、霊性を語る際には微視的にならないほうがよいように感じる。 あと単純に末木文美士「日本思想」vs.納富信留「日本哲学」を新書で読んでみたい。
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