
紙村
@kamimura_
2025年8月24日

別れを告げない
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
ノーベル文学賞受賞からずっと気になっていたハン・ガン『別れを告げない』。著者本人がモデルかと思わせる作家のキョンハを視点人物として、済州島出身のインソンの記憶を辿る。済州島4・3事件サバイバーのインソン母にふたりが静かに近づき、離れ、また近づくゆらめき。指を切断してしまったインソンの断続的に続く針による治療の痛みの描写、大雪の中インソンのため済州島の家に向かうキョンハの描写、4・3事件の描写。どれもふっと目を背けてしまいたくなるような迫ってくるものがあり、その痛みをひっくるめて小説が完成している。痛みであり、シスターフッドの物語でもある。訳者解説がたいへんありがたかった


