大森弥希 "ケアしケアされ、生きていく" 2025年8月21日

ケアしケアされ、生きていく
子育てや介護は、する側がされる側に一方的にケアするものとして論じられやすい。でも実は、自身もまた、子どもや老いた親にケアされている側でもあるのだ。自らに子や老親が与えてくれているものに気がつくとき、ケアが双方向性を持つ行為であることがみえてくる。それを感じないまま一方的に自分が相手を支援していると思い込みつつケアをしていると、支援ではなく支配となっていく。労働を何よりも尊び生産性を至上のものとする昭和的価値観は、たしかに昭和においては焼け跡からの復興のために有効だった。ただし女性や障害者や性的マイノリティーなど多くの人々に犠牲を強い、社会から追いやるという結果も伴った。日本はとっくに衰退しているのにも関わらず昭和的価値観を引きずり続けているいまこそ、生産性至上主義の社会から、ケア的関係性を大切にする社会への転換の時期だと述べられる。医療や保育や介護にまで生産性向上を求めてくる厚生労働省の方々にも是非読んでほしい。
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