
はぐらうり
@hagurauri-books
2025年8月25日

女の子たち風船爆弾をつくる
小林エリカ
読み終わった
これは、わたしたちの「史実」。物語ではない。
毎日出版文化賞受賞。野間文芸新人賞候補。アジア太平洋戦争当時、少女だった方々を東京宝塚劇場を中心に描いていく。市井の、知らなかったエピソードが山ほど出てきて驚く。参考部も山ほどあるが、これまで語られなかった話も多く収録してされている。
同じ文章が何度も何度も出てくる。どこの時代のことを読んでいるのかわからなくなってくる。これは戦時中に同じことを繰り返していることの表れでもあるし、同じ苦しみを味わう少女たちがずっといたことの表れでもあるし、それでも同じように季節は移ろうことの表れでもある、と思った。
時系列で話は進むものの、構成力と取材力は凄まじいものがあった。夏の間に読めて良かった。


