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はぐらうり
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@hagurauri-books
本にまつわる仕事をしています。 紙の本は主に透明書店、電子はhontoを使ってます。
  • 2026年7月10日
    夏帆
    夏帆
    まず、春樹文体が嬉しかった。すごいファン、という認識はないけれど、なんかホームに戻ってきた感じ。 初期の頃に戻ったかのような読みやすさ。メタファーはいろいろとありそうだけれど、差し置いてもストーリーが面白かった。 武蔵境とか、足立ナンバーで笑ってしまう。場末の三流大学、とか。意識的なんだろうけれど、このスノッブな感じも嫌じゃない。母親の描写も意識的にステレオタイプなのかな。この5年ほどの日本の小説は、母親の描き方が同じものが多い気がする。 ファンタジックな要素以外はわりと現実的な設定が多くて、村上春樹じゃないみたい。いや、春樹ではあるんだけれど。とにかく心配されていたような描写は見当たらなくてほっとしたし、ただ面白かった。
  • 2026年7月8日
    ソリティアおじさんがいた頃
    芥川賞候補。これも一気読み。良かった。文學界新人賞の受賞作。 味噌屋の先輩が亡くなってお通夜に行く話。それだけなのに読める。淡々と物事が進んでいく感じが井伏のようで心地よい。全体に軽いタッチでエンディングも軽いしわかりやすいけれど、これは純文学だなぁと思う。良い作家さん。 この時期は文芸誌を読むので楽しい。毎月は買えなくて、大学の図書館で読んでいたのを思い出す。ちゃんと全部読めなくて申し訳ない。文學界新人賞、金原ひとみさんの選評が良かった。本当に暖かい人。
  • 2026年7月8日
    悪い血
    悪い血
    芥川賞候補。一気に読んでしまった。面白い。 妊婦健診で管4本分の血液を抜かれた女性が、思い立ってそれを奪還しようとする話。ところどころで妊娠していた頃の妻を思い出し、わからんでもない、という気になった。 人生に何があっても、それは「罰」ではない。選びとった結果でもない。不条理ではあるのかな、とは思う。 「罰せられていると思うなよ」だ。 普遍的なテーマではあるし、人物の魅力もあって、今回も期待大。
  • 2026年7月5日
    ゾンビ回収婦
    ゾンビ回収婦
    芥川賞候補作。この人以外に、誰がこんなもの書けるのか。今思えば『家庭用安心抗夫』がいちばんわかりやすかった。『猿の戴冠式』は難解で、本作も行って戻って何回も読んでやっと表層を理解。 急げ、急げ、結果出せ。急げ、急げ、ミスすんな。改善しろ向上しろ発展しろ進歩しろ、死んでもミスんな、進化しろ。 現実は皆がNPCのようで、VR世界にはNPCじゃないような人がいて。AIに振り回される世の中への風刺が効いている。 テーマはよりわかりやすいものの、大江・平野の系譜に繋がるものがある気がする。これまでと比べて普遍的ではないのかもしれないけれど、二十年後の大家のよう。選考委員はどんなふうに評価するんだろう。
  • 2026年7月2日
    アンチ・グッドモーニング
    芥川賞候補。めちゃくちゃ面白い。面白すぎて芥川賞ではないと思うけれど読まれてほしい。 おそらく著者は会社勤め経験が豊富で、継続中なのかもしれない。大企業の社会人としての解像度が高くて、とても苦しい。読むのが辛い前半。 眠れない日々。自分の場合は起きたときの絶望感だったけれど、光のあるラストで良かった。
  • 2026年7月1日
    #台所のあるところ
    直木賞候補作。深夜ドラマ「台所のあるところ」の視聴者、Xで感想をつぶやく人々の生活をめぐる、連作短編集。書名の「#」はそういうことだったのか。短編集は、連作ものが好きです。 面白かった。島の話以降がとくに良かった。ほのぼの形でほかの候補作よりライトな感じかなと思っていたけれど、ホラーチックなテイストもあり、都合良く答えなんて見つからないままならなさもあり。 家とか家族とかいろいろ考えてしまうお年頃ではありますが、60くらいになってから読むとまた違った見え方をするんだろうな、という小説。
  • 2026年6月28日
    見えるか保己一
    見えるか保己一
    直木賞候補作。山本周五郎賞受賞作。実在の人物だったんですね。タイトルは人の名前なんだろうな、くらいに思っていたが、苗字は別にあった。 ただの?盲の聖人としてではなく、人としての欲や迷いも描いている。偉業を成し遂げた保己一だが、その偉業自体はほぼ描かれていない。読了後に調べてようやく知った。それほど、人を描いている。 時代小説ではあるけれど、言葉遣いはそこまで時代時代していないので、大作ではあるけれど読みやすい。目が見えないだけにストーリーもミステリーの様相があり、ハラハラする展開も多く楽しめた。
  • 2026年6月23日
    けんぐゎい
    けんぐゎい
    直木賞候補作。朝倉かすみさん。『よむよむかたる』しか読んでいなかったので、こんなものも書くのか、と驚いた。これは過去作も読みたい。 今回の芥川賞候補の『悪い血』と同じく、妊娠出産がテーマになってくる。そして同じく、人生は自分で選び取ったものなのかどうか、を考える。 『悪い血』は、人生に何があっても、それは「罰」ではない。選びとった結果でもない。「罰せられていると思うなよ」という。 こちらは、人生は籤引きの連続、という"ほの"と、それに同意しない"ふゆ"が出てくる。 自分も、すべて選びとってたらたまらんよな、と思う。 同じ課題を感じ取って『悪い血』は現代の純文学に、『けんぐゎい』は時代小説のていをとったのだと思うと面白い。
  • 2026年6月11日
    口に関するアンケート
    怖いのは苦手だけど、映画化するというので。 20分程度でサクッと読めて、しっかり怖いモキュメンタリーホラー。短いけれど、そのなかにいくつかのギミックが仕込まれている。 豆本に近いのかなと思うけれど、そういうものを出版できて、ヒットしているところが良い。その現象が良い。
  • 2026年6月10日
    多類婚姻譚
    多類婚姻譚
    話題の書。 「異類婚姻譚」があるので、似たようなものがと思ったけれど、なるほど。結婚にまつわるままならない人生の短編集。少しずつ繋がっていて、こういうのは好きです。 「小鳥たち」「C'est la vie」がとくに良かった。 年齢を重ねているのが好きなのかもしれない。自分の年齢的に、とも思ったが「マチネ」も当時から好きだったからそういう嗜好。 お話の世界、ではなく、すぐ隣にある物語だった。
  • 2026年6月5日
    マウス
    マウス
    読んでいると、どんどん過去の自分を思い出す。悪い気分じゃない。良かった。 小さい頃、なぜ自分は自分なのか、と思ってた。なぜ自分の自意識が自分にあるのか。なぜこの肉体に宿ったのか。 自分が当然にそうであるように、他人にもそれぞれ自意識があって、その人の苦悩や葛藤があって。でもすぐに忘れる。自意識だけそこに残って、他人がモブキャラになる。 後半の大学生パートも身に覚えがある。魚屋でバイトしてて、大声出せて。 これもコンビニ人間に繋がってるなぁと思う。
  • 2026年6月5日
    逆転監督 森保一
    気持ちを高めるためにW杯前に急いで読まねば、と思い。良かった。 それこそ代表戦くらいしか観ないので、森保監督のことも現役時代は朧げで、広島の監督として少し記憶していたくらい。日本代表だったくらいなので順風満帆かと思いきや、苦労人であった。 木崎さんはあまり前に出てこないタイプの書き手で好感が持てる。意外と短かったのでもっと濃密でも良かった。
  • 2026年6月2日
    背中の記憶
    背中の記憶
    長島さんは写真家。だからか、文章も一文一文が写真的に切り取られて気持ちが良い。 講談社エッセイ賞を受賞しているけれど、本人は創作と言っている。真実よりも大切なものが描かれているから。 読みながら自分も自分の身近な人たちのことを思い出す。不思議。
  • 2026年5月26日
    なぜ日本文学は英米で人気があるのか
    村上春樹が英米で人気だった理由もわかったし、一強時代からの流れもよくわかって面白かった。 日本の女性作家が海外で売れている事象自体は10年くらい前からあったように思うけれど、近年は受賞も目立つように。 個人的にはサンマーク系の小説の人気ぶりが気にはなっていたが、英米で好まれてるヒーリングフィクションという位置付けなんだな。 世界文学も親しんできた身としては、日本文学が世界で読まれているのも嬉しい。
  • 2026年5月20日
    国宝 下 花道篇
    なるほど原作は映画とはかなり違っていたのだな。 これを映画でやろうとしたら倍の時間は必要だった。3時間でも短くなっていたのだな。盛り込みたいエピソードが多数あった。 上巻最初の違和感も、ずっと言及されてこなかったけれど、終わりで明かされて良かった。そして気になるエンディング。ここで終わるのが当然良いのだと思うので、幸せな結末だったと想像したい。 原作なので当然これが完成形ではあるのだが、映画も映画で素晴らしい作品だった。違うアプローチの正解が二つあるというのも、喜久雄と俊介のよう。どちらも素晴らしかった。
  • 2026年5月13日
    国宝 上 青春篇
    ここで切って下巻にいくのか! 映画はとても良かった。あまり観れないので原作が後になることも少ないけれど、違いが際立って映画さき原作あとも、それはそれで良い。 吉田修一は長嶋有の次に芥川賞を獲った人、という印象が強い。いちばん純文学を読んでいた頃だった。なので、そこからエンタメに流れていったことに違和感があったけれど、エンタメを極めたのだな、と思う。 映画のほうも長かったが、それでもだいぶ削ってたんだな。映画では強いセリフが残されていたけれど、もっと枝葉も残ってたらまた違う良さがあったようにも思う。商業的には大正解ではある。
  • 2026年5月8日
    授乳
    授乳
    『世界99』を早く読みたいのだが、村田沙耶香を時系列で追ってこそ良い、と誰かが言っていた。意外と『コンビニ人間』しか読んでいないことに気づき、読めるものはとりあえず読んでからでないと、と思ってしまい、ようやくその1冊目。まずはデビュー作。良かった。 短編・中編三部作。 表題作は、すでに母にコンビニ人間味がある。そう思われるの嫌かな。主人公の女子高生と先生の話のはずだが、母と父の存在感が際立つ。思春期の頃の、親に対する想いは、自分も今思えばとても暴力的だったと思う。今でもときどき、これは暴力的だったと後悔することがある。 コイビト 今読むと、大前粟生さんとか、『正欲』的なものの前身な感じ。当時はかなり先進的だったのでは。やはりすごい。 御伽の部屋 なんとなく内面にくる感じ。三部作とも同じものを描いている気がするけれど、より強く現れている感じ。 先は長いけれど、楽しい。
  • 2026年5月2日
    ほんとうのことを書く練習
    多くの人に読まれていて凄い。とても良かった。 「ほんとうのこと」を書いたときに、残るのが個性。残るものが自分にあるのか、とても心配ではある。でも残ったものそのものが個性なんでしょうね。 著者と同じような感じで本に救われてきたなぁと思う。希死念慮はそんなに強くなかった。けれど中学時代にいろんなものが嫌になって逃げ込んだ本屋で見つけた原田宗典に救われ、ずっと本に生かされている。本屋大賞発掘部門、嬉しかった。 書くこと、も仕事のなかでしばしばあるので、いつでも読み返せるようにしておこう。土門蘭、どんどん大きくなっていって嬉しい。
  • 2026年5月2日
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
    解説に、事前情報なしで読んだほうがいい、とあった。何も知らずに読めて良かった。楽しめた! 作者は映画「オデッセイ」の原作者とのことで、海外のとくにSF作家に疎すぎて困るけれど、映画原作のプロのような方だったのか。 皆の感想も読まずにいるのでわからないけれど、おそらく多数の人が書いているだろうこのセリフ。 しあわせ!しあわせ!しあわせ!
  • 2026年4月24日
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
    宇宙SFはどうしても「三体」シリーズと比べてしまうけれど、これは比較的読みやすい!入門的と言われているのもよくわかる。身構えて読み始めたものの、理論的な部分が過ぎると俄然面白くなった。長らく寝かせておいたけれど、せめて映画が始まる前に読んでおけば良かった。映画観る予定はないけれど。 昔は「MIB」とか好んで観ていたので、異星人が出てくるとどうしたってワクワクする。可愛く描かれていると嬉しい。かわいい。ストーリーをまったく知らないで読んでいるので下巻が楽しみ。
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