DaDa
@tub
2025年8月28日

野蛮の言説
中村隆之
読み終わった
「野蛮」という言葉がどの様に成立し正当性を持って使われたのか、またそれが17世紀からアウシュビッツを経て21世紀のヘイトスピーチに接続するまでを追った一冊。
17世紀からの大航海時代・植民地時代では、
宗教的教条や啓蒙主義が野蛮を規定し、植民地支配の正当性を与した。
20世紀では科学的言説が人種の亜種・劣等種である野蛮を規定し、優勢種を保守する為にそれらの廃絶を正当化し促進した。
21世紀では前世紀までの反省があってもなお、経済不和からの貧困・合理主義や区別と称した差別が排外主義を興盛させた。
最終章では著者はこれまでの歴史を踏まえ、どの様に思考し使う言葉に対し見直しを図れるかを記しているが、野蛮の言説が其処彼処で飛び交う現代では必要な姿勢を提示していると感じた。