
あんどん書房
@andn
2025年1月29日

長い読書
島田潤一郎
読み終わった
みすずの本を通読できたのは2冊目ぐらいかもしれない。
精興社書体がすごく馴染んでいる。
読んだあと、色々と長い読書に挑戦したくなる本だった。
「それはいいかえれば、近くのことがなにも見えなかったから、遠くのものを目を凝らして見つめた、そんな日々だったのだと思う」(P250)
本を読むことをただただ称揚する訳でもなく、かといって近くのものが見えなかったことに対する後悔でもない。
本書全体を通しても、「読書はとにかく良いものですよ」というようなメッセージがはっきりと書かれているわけではなかったと思う。書かれていたのは、折々でそのとき読むべきだった本に出会い、読んできたという著者の姿だ。そこが本書に独特の静謐さのようなものをもたらしている部分なのではないだろうか。
本文書体:精興社書体
装丁:尾方邦雄
カバー画:グスタフ・クリムト《シェーンブルン庭園風景》

