彼らは読みつづけた "小説" 2024年12月31日

小説
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野崎まど
*読書で見つけた「読書(する人)」* 《内海集司は返事を考えた。『竜馬がゆく』は面白い。だから面白いと答えればそれで済む話だったが、面白いと答えるだけでは『竜馬がゆく』の面白さは全く正確に伝わらないだろうと思った。質問に正しく答えているはずなのに、まるで嘘を吐いているような感覚になるだろう ことは想像に難くない。ならばここで作品の面白さを熱弁するべきかといえばそれも全く違う。自分のキャラではないし相手は友達でもないし何の義理もない。僅かな逡巡の後、内海集司は外崎をそこに待たせ、一度教室に戻って『竜馬がゆく』の一巻を取ってきて渡した。それが一番楽で確実な方法だった。》 — 野﨑まど著『小説』(2024年11月、講談社)
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