
篠乃崎碧海
@Aomi_rds
2025年8月29日

バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 上
R・F・クァン,
古沢嘉通
読み終わった
久々に骨太なファンタジーを読んだ。いや、ファンタジーといっていいのか?登場するものはファンタジーであるが、この世界で起きていることは紛れもなく現実にも存在する搾取、差別、植民地政策だ。全ては二重写しになっている。その説得力と、物語の主題である翻訳による言語的なズレ、ふたつが見事なバランスで絡み合っていて、いい読後感をもたらしている。
言葉をこねくり回す仕事をしているせいか興味深く読めた。言葉に対して鋭くなればなるほど世界の解像度が上がる。著者はその喜びを知っているのだなと思った。
学生の頃、世界史の授業である語族がどこからきてどこに流れ着きどう発展していったか、を学んだことを思い出した。当時はただの暗記科目としか思えなかったのだが、今なら奥深さが理解できる。繋がりを解き明かしていく、世界の一端に触れる面白さがわかるようになった今なら。
下巻まで読み切ったらまた感想書こうかな。



