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篠乃崎碧海
篠乃崎碧海
篠乃崎碧海
@Aomi_rds
広く浅くわりとなんでも読む。神保町PASSAGE by ALL REVIEWSにて棚主やってます。その他個人サイトに気まぐれに小説あげたり。
  • 2026年10月6日
    運命と希望
    運命と希望
     久々に鈍器本を読破した気がする。もうそれだけで満足感がすごい。読んでも読んでも読み終わらないって嬉しい…無論面白い作品に限りますけど。  『1793』の著者の新刊ということで飛びついたはいいが今作の舞台は15世紀のスウェーデン、さらに時代遡っちゃうのかよ! 18世紀ですらだいぶ難解だったのについていける自信ねえよ! と震えていたが結論としては『1793』シリーズよりするする読めた。読まされてしまった。歴史も風土もまともに知らない国の15世紀の話を極東の庶民にもわかりやすいように書けるというのは驚嘆に値する。  大体この作品が書かれた背景からしてすごい。日本で言えば細川勝元の直系の子孫が応仁の乱について書いているようなもの(雑な解説)だと思うとなんというかもう、すごいを通り越して呆然とするしかない。スケールに圧倒されるばかりである。「高貴なる系譜の血塗られた歴史ロマン」などと飾り立てられた紋切り型の煽り文句を見ると思わずふふっと笑ってしまうことがあるが、これは笑えない。著者がバリバリ当事者なので。そして改めて思う、なぜ令和に生きる極東の人間がエンタメとして読めてしまうのかと。  登場人物ひとりひとりをきちんと立たせる描写力がとんでもない。それがするする読ませる原動力になっている。普通あんなに人物出てきたら(しかも似てる名前ばかり)混乱する。百年の孤独を過去5回挫折して6度目に半泣きになりながら大量のハテナとともに読み終えた読書オンチを舐めないでほしい。しかしそんな駄目人間にもわかるように書いてくれるのだ、この著者は。  来年予定の続編を期待して待つ…。
  • 2026年9月20日
    現代思想 2026年7月号 特集名=「リベラル」のゆくえ
    現代思想 2026年7月号 特集名=「リベラル」のゆくえ
     結局どの論考も似たような結論に至ってしまうのだよなというのがやや引っかかった。それこそが「リベラル」の変な頭の固さを象徴しているような気もした。  もっと多様な論はないの?という気づきのための出発点としてはよいかと思う。もう少し身近に引き寄せて自分事として論じられないものだろうか。この手の題材はいつもモヤモヤばかりが残る。それを忌避せずモヤモヤし続けていきたいとは思うが、タイパコスパの世の中にはたしかにそぐわないよなとも感じる。
  • 2026年9月16日
    こんなにも多くの人が、マリアナ
    こんなにも多くの人が、マリアナ
  • 2026年9月16日
    エルサレム
    エルサレム
  • 2026年9月8日
    ぼくは落ち着きがない
     学生の頃、私にとってのシェルターはコーヒーと煙草とテレピン油のにおいのする美術室だったと思い出しながら読んでいた。あの4階の角部屋は今もまだ居場所のない者達の溜まり場なんだろうか。コーヒーはともかく煙草は駆逐されてしまっただろうけど。  松村栄子『僕はかぐや姫』にも通じるものがある気がする一冊。著者はきっと、かつての自分を本棚の陰からそっと見守るような気持ちで書いたのだろうと思わせる。
  • 2026年9月7日
    ユリイカ 2026年7月号 特集名=『天幕のジャードゥーガル』の世界  -トマトスープが描く歴史マンガの新地平ー
     アニメをきっかけに作品を知り、読みやすい補足資料がないかなーと思っていたところに渡りに船な特集。入門としてよかった。  近年流行りの転生ものや悪役令嬢ものとの比較をしている論考があったのも興味深い。個人的には転生もの悪役令嬢ものは安直すぎてつまらないと思ってきたのだが、それらをきっかけにこれまで歴史上「悪」とされてきた人物の再評価や多角的視点での研究の緒にもなり得るのかもしれないと感じた。ものはやりようというか。
  • 2026年9月7日
    俺とおまえの夏の陣
  • 2026年9月3日
    虚弱と歩く
    虚弱と歩く
  • 2026年8月30日
    なぜ歴史を学ぶのか
    なぜ歴史を学ぶのか
  • 2026年8月30日
    ユリイカ2026年6月臨時増刊号 総特集=中上健次
    ユリイカ2026年6月臨時増刊号 総特集=中上健次
     学生の頃に何作か読んで、小難しいな…以上の感想を抱けずなんとなくフェードアウトしたが、今こそ再読してみようかなと思える良い特集だった。昨今あまり読めない良質な批評に触れられたのも嬉しい収穫。
  • 2026年8月28日
    「反セム」の思想史
  • 2026年8月25日
    祖父が見た日中戦争 東大卒の文学青年は兵士になった
    夏になると読み返す一冊。出会ったきっかけは創作資料でしたが、今や関係なく大事な一冊となった。  人間は宿命的に戦争をする生物である、という事実を胸に戦後81年のこの国を見る。たとえ宿命であっても諦めてはいけない。本能に流される者を政治のトップに立たせてはいけない。
  • 2026年8月18日
  • 2026年8月17日
    天使のおそれ
    天使のおそれ
  • 2026年8月17日
    ユリイカ(2026 6(第58巻第7号))
    杉本博司氏。「なんか色々やってる古物コレクター」くらいのイメージしかなかった(ごめんなさい)知識をアップデートできた。特集に感謝。  平芳幸浩『装置としての「本歌取り」』が興味深かった。「語りは常に騙りの側面を持っていることに自覚的であること」本歌取りはアートの技法であるだけでなく、過去作を引用するという行為にゲーム的な駆け引きが生じ、その技法を用いた事実それ自体が意味を帯びてくる。生成AIに本歌取りはできるのだろうか、と考えてしまった。結果的に本歌取りっぽくなった、ではなく、本歌取りという技法を念頭に置いて選び取ることができるだろうか。恐らく不可能だろう。
  • 2026年8月12日
    指先から旅をする
  • 2026年8月12日
    神様の暇つぶし
    絶対に好きになってはいけない人、というのがこの世にはいる。既婚者だとか未成年だとかの倫理的に関係を持ってはいけない、という意味ではなく、ただ愛してはいけない、愛したら最後これまでの人生の全てを塗り替えられてしまうような、この先の形すらも定められてしまうような人がいる。出会ってしまったら終わり。そういう意味では悪魔のような存在かもしれない。あるいはただひとりの神様か。  廣瀬全はそういう男である。絶対に好きになってはいけないと恐らく多くの人がすぐに気づく。この物語の主人公である、二十歳の藤子も直感で悟っていただろう。それでも抗えないのがこの男の最低で最高なところだ。父親を喪ったばかりというタイミングも藤子にとっては不運だったかもしれない。  好意とは好奇心かもしれない。この人を暴いてみたい、誰にも見せなかったであろう表情を白日の下に引き摺り出してやりたい。そんな欲望をいくらぶつけたところで相手は薄い笑みを浮かべるばかりだ。それでますますのめり込む。心地良く堕落していく。  しかし廣瀬全と藤子の間には黒々としたファインダーが聳えている。鉄の冷たさを挟んでふたりは互いを自分の神様だと思い、自らの肉体を捧げ合う。そこには性欲という言葉には収まりきらない寂しさが、憧憬が、愛がある。  桜庭一樹『私の男』が好きな人におすすめしたい一冊。あるいは、かつてろくでもない神様を愛したことのある人に。
  • 2026年8月9日
    現代思想2026年6月号 特集=アラビア哲学――もうひとつの哲学史へ
    現代思想2026年6月号 特集=アラビア哲学――もうひとつの哲学史へ
    ほぼ無勉強のジャンル特集を読むのはやはり難しい。やたら時間がかかってしまった。  中西悠喜『アラビア魔術と霊的実体』が興味深い。星辰魔術とイスラム信仰の関連性についてもう少し類書を読みたくなった。  新連載の山口尚『「駒場カルテット」という事件』はつかみがよかった。  哲学者はソリストでなければならない。ソリストだけから、真のカルテットは生まれうるのである(文中より引用)  山内志朗・西郷甲矢人・鈴木大地『スコラ哲学の迷宮を訪ねる(1)』連載が進むにつれ面白くなってきたように思う。スコラ哲学の言説「針の上で天使は何人踊れるか」が取り上げられていたが、こういう問いを本気で掘り下げていく精神性が好きだ。
  • 2026年8月7日
    英国幻視の少年たち2
    一巻より好みだった。人と同じものが見える悲しみと、見えないゆえの悲しみと。誰かにとってのお伽話が、別の誰かを救い得るかもしれない。  作者は見目の良い青年を弱らせるの好きだな? と思わずにはいられない。そういう意味でも中々良い読後感でした。
  • 2026年8月7日
    はくしむるち
    はくしむるち
    現代の沖縄に生きる少年と、戦時の沖縄に生きた男の日々が、とある視点者を介してほぼ交互に語られる。  沖縄を常夏の観光地だとしか思っていない人にこそ読んでほしい一冊だ。読めばきっと歴史を知りたくなる。戦争と迫害の歴史が、今も過去になることなく生き続けている地なのだとわかる。  美しい文章ではないかもしれない。それでも、青い海以上のものが残るだろう。私の中には残った。
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